島本和彦『逆境ナイン』

少年キャプテンコミックス版「逆境ナイン」第一巻表紙

廃部になりかけた野球部が、数々の逆境を乗り越え、遂に高校野球で優勝するまでを描いた物語。と書いたら平凡な野球漫画を想像されるかもしれないが、この作品はすごい。とにかく熱血と屁理屈だけで強引にストーリーが進んで行く。勝てば廃部を免れる試合を満身創痍で迎え、普通なら絶対勝てないところを、雨で相手が試合放棄したため不戦勝し、あたかも甲子園制覇し最終回を迎えたがごとく盛り上がらせたりする。また地方大会で100点差をつけられ、なおかつその点差をたった一人でひっくり返して勝ったり(なんでそんなことができるかは、読んでのお楽しみ)する。そして圧巻は、自分自身の魂を玉に乗り移らせて投げる「男球」だ。なんと玉にギョロリと目が生え、「ウオー」と叫びながら迫ってくるのだ。野球漫画に「魔球」は数多くあるが、これほど荒唐無稽な魔球は存在しない。

とにかく大笑い出来ること必至。大真面目に馬鹿をすることのおかしさを堪能出来る逸品だ。

少年キャプテンコミックススペシャル(徳間書店)から全4巻で復刊された。

強引なストーリー展開

見開きで語られる名言。勢いと迫力が物語の原動力だ。(第1巻152・153ページより)

男球

これが男球だ!!(第5巻94ページより)

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