8月にふらっと旧大塔村、十津川村、御杖村を訪ねてみた。
国道168号線の「道の駅大塔」の駐車場で一夜を過ごし、夜明け後南下する。
「道の駅大塔」のあたりまでは道路の改良が進んで片側1車線が設けられているが、勾配を下ってダム湖が現れるあたりから、離合に注意が必要な狭隘路になる。
いわゆる酷道という奴だ。
観光名所の「谷瀬の吊橋」は、広い十津川村の北の方に位置している。
観光客用の駐車場は有料。
辺りには自動車の交通整理用の警備員が何人も居たが、その人件費を駐車料金から捻出しているのだろうか。



吊橋による渡河に挑戦するが、揺れて無茶苦茶怖いので20mほど進んだところで一旦引き返す。
折角ここまで来たんだし、駐車料金が勿体無い。
再び渡河に挑戦。
必死でバランスを取りながら進み、対岸に到達した。

人間の適応能力は大したもので、一度渡りきってしまうと慣れてしまい、橋の上で写真を撮る余裕が出来る。

国道側から見て橋の対岸の川べりはもともと集落があったところで、水害により移転したらしい。
(その時の移住者が北海道の新十津川町を拓いた。)
現在はキャンプ場になっていて、夏の休日ということもあって大量のテントで賑わっていた。
橋の位置が高いので人影は芥子粒に見える。
いくらクッションみたいなものが下にあったとしても、落ちたら死ぬだろう。

橋は昭和29年製。
国道側に、警備員の詰所と渡河待ち行列用のスペースがある。

訪れたのが朝のまだ早い時間帯だったので行き来自由だったが、10時かそこらあたりから一方通行にすると警備員が案内していた。

郵便配達の職員はこの橋をカブで渡るらしいがクレージーだ。
ピンヒールのサンダルで渡ってる観光客の若いねーちゃんがいたが、これまたクレージーだ。
高齢になってバランス感覚が衰えてからこの橋を渡るのは難しいと思われるので、観光でやって来て渡るなら足腰が丈夫なうちにすることをお勧めする。

十津川村中心部に行くと時間を食うので、旧大塔村まで戻る。
旧大塔村が掘削した温泉施設「ふれあい交流館・夢乃湯」で入浴。
観光資源が少ない村民には高々この程度でも夢のような存在なので「夢乃湯」と名づけたらしい。
源泉は入浴には温度が足りないので、加温されている。
温泉施設としてはオーソドックスなつくり。

隣接して河川公園が整備されている。
清流で川遊びに興じる家族連れがちらほら居た。

「道の駅大塔」は駐車場が狭い。
駅舎は円盤型宇宙船を模した造りで、一階が便所と自動販売機コーナー、二階が土産物店と食事処になっている。
隣接して天体観測用のロッジ「星のくに」やプラネタリウム施設がある。
大阪近辺の天文ファンにはお馴染みの場所。

道の駅の近くにある脇道を道案内に沿って登っていくと、天誅組の本陣跡がある。
小さな公園になっているのだが鹿が入ってこないように金網で囲われているので、まるで工事現場のよう。
全然落ち着かない。
実際、工事現場によくある組み立て式簡易便所がある。
天誅組がマイナーすぎるせいか、観光客は誰もいない。

吉野を横目に宇陀の菟田野へ。
道路に神社を示す看板があったので、何かピンと来るものがあり自動車を留めて訪ねてみた。
宇太水分神社。
うだみくまりじんじゃ、と読む。
宮司さんの話によると、今夜盆踊りがあるので準備をしているらしい。
神社で盆踊りというのは珍しい。
近くの寺と共同で行っていたが若い人が少なくなって規模を縮小せざるを得ず、盆踊りは1日だけになったそうな。

後ろに見えている摂社は重要文化財。

祭りの準備の邪魔になってはいけないので近づいていないが、拝殿の裏にある本殿は鎌倉時代のもので国宝に指定されている。
しかし電車が通じているわけでもなく、祭りの時を除けば参拝客はあまりいなさそうなこじんまりとした神社である。

宇陀、曽爾村と国道369号を通り、御杖村の「道の駅道の駅伊勢本街道御杖」に到着。
ここには日帰り温泉施設があり、過疎の村にも関わらず大変賑わっていた。

温泉施設の中の料理店で地元産の野菜を使った料理を堪能。
観光名所があるわけではない御杖くんだりまでわざわざ来たのは、『果てしなく青い、この空の下で…』の舞台のモデルになっているから。
そういうわけで、モデル地点を探しつつ、村を走る。
国道は旧街道を避けて通っており、国道沿いに民家や商店といった建物はほとんどない。
狭い田舎道に入って、ゆったりと進む。


作中のモデル地点ではないが、地元の神社の御杖神社に参拝。
田んぼが広がる谷間の村の中でここだけ高い木々に囲まれていて、静寂と厳かな雰囲気が漂う。
誰もいないが、拝殿が開いていたので朝夕に宮司が開け閉めをしているものと思われる。
近くにある潰れた給油所に「御杖神社駐車場」の看板が出ていた。

主人公の家に似てるかなと思ったが、違うか。

これは確実に松倉商店。
タバコを売るカウンター周りが改装されているけど間違いない。
場所は国道沿いではないけど、国道からも見える。

通学路を探してウロウロしてみたがさっぱりわからん。
道路から見渡すと大抵民家が視野の手前に入るので、作中の場所でないことだけは判るのだが……。

国道を西に向かい、案内所のあたりで南へ向かう脇道を進んでいくと、「三季館」と名づけられた宿泊施設がある。
廃校になった村立御杖西小学校桃俣分校を転用したもので、ここが安曇学園のモデルらしい。
作中では校舎は2階建てだが、桃俣分校の校舎は平屋建てである。
何故か判らないが、グラウンドに運動会で使うようなテントが設置されていた。

グラウンドから柵も何もなく地続きで神社がある。
グラウンドで小学生が野球をして、打球が神社の建物に当たり怒られるなんてことがあったのだろうか。
春日神社と称しているが、何故かコノハナノサクヤビメも一緒に祀られているらしい。

鉄筋コンクリートじゃない木造校舎は、実に良い。

分校時代の看板が撤去されずに残っている。
諸車の練習とは何だろう。
自転車とか、仮免の自動車の練習とか?
ところで、『果てしなく青い、この空の下で…』発売から9年経った今頃になって人物の音声を加えた完全版が来月発売されるようなので、興味のある人は要チェックだ。
新作の『アトリの空と真鍮の月』も『果て青』同様の田舎学園物+ホラーらしいので、ノスタルジックな雰囲気とパッケージ詐欺な伝奇っぷりに期待したい。
旧大塔村、十津川村とくれば、てっきり護良親王の足跡を辿る巡礼かと思いきや・・・、やっぱりそっちでしたか。
道の駅大塔の向かいに護良親王の像がありましたね。
護良親王といえば、鎌倉に行ったときに護良親王が幽閉されたと伝えられる土牢を観た覚えが……。