マンガやアニメが制作される上でモデルになった場所を訪問することを「聖地巡礼」と俗に称するのだが、今回は本来の意味での聖地巡礼である。
不意に休暇が取れたので、平安時代に聖地として貴族の信仰を集めた熊野へ参詣に出た。
大阪からだと田辺市までは高速道路が整備されているが、紀南の方はまだ道路整備が行き届いていないため、かなり時間がかかる。
泊りがけだと楽なのだが、いわゆるゴールデンウィークにかぶるためレンタカーの手配が1日分しか出来ず、やむなく日帰りとなった。
20年ぶりに特急くろしおに乗るプランも考えたが、始発は遅くて終発が早く行動時間が短くなるし、新宮からのバス代なんかも入れると費用的にレンタカーの場合と大して変わらないので、お蔵入りとした。
本当のところ、オーシャンアローに乗りたかったんだけどなあ。
午前5時からの予約でレンタカーを確保していたのだが、ゆっくり準備していたら時間が過ぎてしまい午前5時20分頃出発。
なぜこんなに早い出発なのかというと、熊野地方までは高速道路を利用しても4時間以上かかるということと、ETC の夜間早朝割引狙いだから。
今回も日産のノートを予約していたのだが、営業所に行ったら日産のキューブ(3代目)に変更されていた。
キューブは鈍重そうな外見とは裏腹に、割とキビキビ走ってくれる。
エンジン音は静かだが、ウインカーの音も静かなので点灯しているのかどうかわかり辛い。
メーター類はヘッドライトスイッチを操作しない状態でもライトで照らされており、配置や形状もとても見やすい。
ただ、デフォルトでライトが点灯しているので、夜でも無灯火に気づかずに走行し始めてしまう局面があった。
シートは前列もベンチシートで、真ん中にカップホルダーサイズの小物入れがある。
シートの固さや厚みはほどよく、座り心地がいい。
フロントシートの肘かけを倒すと小物置き場になっていて、カメラや音楽プレイヤーを置くのに便利だった。
カップホルダーはハンドルの右側にダッシュボードと一体で作り付けのものがあり、350mL缶サイズと250mL缶サイズの二つある。
今時の車なので灰皿はない。
運転席に座るとダッシュボードの奥行きが大きく、車体のフロント側もスクエアな形をしているため前方・頭上に開放感がある。
ボンネットがダッシュボードとフロントガラスの境目にちょうと重なって見えるので、フロントの見切りはちょっと辛かった。
変速ショックがないので多分 CVT だろうが、おかげで乗り心地は良好。
その代わりエンジンブレーキが利きづらい。
エンジンの回転数もスポーツモードを使ったりスピードを出しすぎたりしない限り2000回転は越えない。
総じて、さすが日産の基幹モデルだけに出来がいいなと思った。
長原 IC から近畿道に乗り、阪和道の堺料金所を5時59分に通過。
見事なまでにギリギリセーフ!
ちなみに私の ETC 初体験である。
なるほど、料金所でいちいち金銭の受け渡しがなくて便利。
自動車は未だ空を飛んではいないけど、21世紀って感じがする。
勤め先では経費の申請に領収書を添付するルールになってるから、ETC は使えないのが悲しい。
紀ノ川 SA で休憩がてら、朝食代わりにうどんとおにぎりを食す。
せっかくのいい天気だし、春の太平洋を横目にしながら走ったら気持ちいいはずだし寄り道もしたい。
というわけで、熊野への最短ルートは通らずに海岸沿いの国道42号線をぐるっと周るルートを選択した。
国道42号線は基本的に片道1車線で、地形柄カーブがとても多い。
歩車分離もあまりなされていないので、時々道の端に歩行者がいたり自転車が走っていたりする。
カレンダー上は平日で、ちょうど登校時間帯に重なったため、道の端を逆走してくる高校生の群れに遭遇し参った。
ゴールデンウィークということもあってか、サイクリストも何人か追い越した。
信号でのストップがほとんどなくて巡航できるのはいいけど、安全運転に気を配らなくてはいけない。

道の駅イノブータンランド・すさみでトイレ休憩。
このへんでイノブタを飼育してるから「イノブータンランド」らしい。

海岸沿いにあるので、眺めは良好。
折角だから潮岬に寄って行こう、ということで国道から外れる。
途中すれ違ったビートかカプチーノ(オープンカーね)に乗ったサングラスの兄ちゃん、気持ちよさそうだったな。
Google Maps で「潮岬灯台」と検索するとなぜか位置が大幅にずれている。
潮岬の灯台そばに到着したら、ただの草と砂利みたいな原っぱなのに駐車場代を取られた。
300円なり。

駐車場の傍には公衆トイレがあり、灯台まで舗装された遊歩道を5分ほど歩く。

この門から先は有料で、200円。
道を右に折れると潮御崎神社に至る。
札を見ると海上保安庁の管轄になっているようだけど、払ったお金は何処に行くのだろう。
領収書がないことから考えて、おそらく管理委託先の天下り団体だろうな。

白色が眩しくて美しい。
明治時代から建っている日本でも最初期の洋式灯台で、歴史的にも価値の高いものだ。

入口に掲げられたプレートには" REBUILT 1878 ILLUMINTED 15TH APRIL" "LIGHT FIRST EXHIBITED FROM THE OLD WOODEN TOWER 15TH SEPTEMBER 1873 "とある。
漢字でも同じような内容が書かれているようだがよく読めない。
とりあえず130年ものというわけだ。
掲示板によると、近年補強材を吹き付けて耐震強化を図っているらしい。

入口の左側は資料展示室になっていて、灯台がどんな働きをしているのかという解説がパネルに書かれている。
真ん中には、潮岬灯台で実際に使われていた、人間よりも大きなヘッドランプが鎮座する。

灯台に登るには内部の螺旋の石段を登っていくが、最後は鉄製のハシゴ。
登りきったところに外に出る小さな出入り口がある。
私みたいに頭をぶつけて苦しむことのないように注意しよう。

外に出れば、太平洋を一望できる大パノラマ。
本州最南端の地に居ることを噛み締める。
写真では広角レンズの特性で強調されているが、実際の目でも地球は丸いと実感することができる。

灯台を出て、潮御崎神社を参拝。
拝殿前に従軍記念と書かれた石碑が拝殿前にどんと置かれた珍しいいでたち。
近くには慰霊碑もあった。
南方戦線に送られた兵士に絡んで祈祷鎮魂をしていたのだろうか。
社務所はどうやら灯台の門の右手にある塀に囲まれた邸宅のようだが、あまりに普通の民家然としていて敷地に入りづらかったのでご朱印は貰わなかった。
チキン野郎です。
潮岬から橋で紀伊大島に渡ればネットで有名になった美談、エルトゥールル号遭難事件の慰霊碑まで行けると事前に情報を仕入れていたのに、当日はすっかり頭から抜けていたため素通り。

小生も、かつて劇団の連中と三熊野詣にいったをり、こゝに昇って、唄ひましたぜ「喜びも悲しみも幾歳月」。
選曲が渋いですね。
無印も新の方も観ていないので……っていうか、木下恵介作品は1つも観ていないので、観たいところですが。
潮岬灯台ですか。
私も上りましたが、高所恐怖症故景色を一望してすぐに引っ込んでしまいました。
紀伊大島へ渡らなかったのは手抜かりでしたねぇ、大島の灯台は潮岬ほど高くないので私でも雄大な形式を満喫できました。
紀伊大島では太平洋を睨むが如き、航空自衛隊のレーダーサイトが印象的でしたねぇ。