22 novembre 2008

「ヤシガニ」10周年

10周年、といえば「ヤシガニ」事件からも10周年なんですね。

「ヤシガニ」事件とは、1998年に放送されていた TV アニメ番組『ロスト・ユニバース』の第4話「ヤシガニ屠る」で、放送に耐えない劣悪な質の映像が放送されてしまったという事件です。
以降、TV アニメ番組における劣悪な作画の代名詞として「ヤシガニ」という語が使われるようになりました。
詳細は「ヤシガニ屠る」で Web 検索すれば初回放送時の画像写真や動画記事を見ることができます。

どのように劣悪なのか簡単に紹介すると、

  • キャラクターのデッサンが基本デザインからかけ離れて別人のようになっている
  • 絵の枚数が極端に不足しカクカクしている
  • 描かれるべき人物や物体が描かれていない
  • 絵の陰影が省略されて立体感がない

といった感じ。

視聴者の多い18時半からの放送だったことと、Web の普及が進んでいった時期だったことが災いして大きな事件として記憶されることになったんでしょう。
私も『ロスト・ユニバース』を本放送で観たことは1度もなく、Web サイトで知った口です。

何でこんなことになったのかというと、ただでさえ劣悪だったアニメ制作の現場環境が、『エヴァ』ブーム後のアニメ制作バブルの影響で更に悪化し、制作スケジュールが破綻を来たしたからと言われています。
フルデジタル制作による効率向上と外注先の海外アニメスタジオが力をつけたことで、業界は騙し騙し存続しているようなんですが。

ところで、「ヤシガニ」事件の翌年である1999年には『ガンドレス』( GUNDRESS )が業界とアニメファンを震撼させました。

『ガンドレス』は東映系で全国劇場公開の SF アニメ映画だったのですが、制作が上映に間に合わず、未完成な絵が散りばめられた状態で上映されるという椿事になったのです。

デッサンの崩壊自体はほとんどないんですが、

  • 背景とセルがずれてるカットがある
  • 所々で台詞や効果音と映像がずれている
  • 歩いているはずの人物が動いておらず、平行移動に見えるカットがある
  • 発射されたロケット弾が動いていないのに次のカットでは目標に着弾している
  • 人物や物体が線画に一色で塗っただけのカットが頻発する
  • 絵の枚数が足りず動きがカクカクになるシーンがある
  • カットの露骨な使いまわしがある

などという始末。
制作サイドは入場者のうち、希望者に完成品のビデオテープを無料送付するという形で対処したのでした。

後に DVD に収録された『ガンドレス』の特典として未完成バージョンが添付され、それが Web に流出し今なおこうして語り継がれるに至っています。
私も上映当時は『ガンドレス』の存在すら知らず、事件のことを知ったのは数年後。
最近になって未完成版を観ましたが、あまりの酷さに「コメディ映画でもこれだけ笑わないぞ」というくらい笑ってしまいました。
制作サイドからすれば、この未完成版に至るのですら悲惨な努力があって、笑うどころではないのでしょうけど。

『ガンドレス』において切ないのは、絵がちゃんと出来上がっていたとしてもつまらない凡作だったというところ。
近未来の都市で、美女5人がパワードスーツに身を包み、テロリストに立ち向かう――という新鮮味のない設定。
その美女5人がどいつもこいつも魅力に乏しい。
『 GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』の4年後の作品なのにチープな電脳世界の描写。
ストーリー展開も盛り上がりに欠ける。
そりゃ未完成での上映という失態をネタに売るしかないよな、と納得しました。

詳細は「これがガンドレスだ」「伝説の未完成映画」を参照して下さい。

作画崩壊アニメの系譜については、「同人用語の基礎知識」の「ヤシガニアニメ/ヤシガニ屠る/ウニメ」が詳しいです。

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