2008年のプロ野球セントラルリーグの優勝者は10月10日にやっと決まった。
優勝特別番組で『安楽椅子探偵』の放送が潰れなくてよかった。
放送局が朝日放送だけに、タイガースが優勝してたら潰れてたかもしれない。
登場人物の誰でも犯行が可能に思われるので、どうやって犯人を絞っていくのか楽しみだったのだけど、解答編で示された解答はツッコミどころ満載だった。
以下、犯人の氏名は名指ししないもののネタバレ注意。
まず、潮野卓也が犯人ではない理由として、「右手に巻いていた包帯が汚れておらず、右手の包帯を一人で巻きなおすことは困難だから」とされている。
しかし右手の包帯を左手で巻くこと自体は、左手で箸を使うことに比べれば易しいレベルだと思う。
おまけに潮野卓也を演じている津田寛治は左利きである。
社長の息子が犯人ではない理由は「2007年なのでトンネルが開通していないから」。
しかし公共の道路として完成していないだけで、貫通さえしていれば、工事関係者一人が通ることは不可能でない。
犯行当日の時間的に厳しそうではあるが、彼の居る事務所から村までどれくらいかかるかはっきり示されていないはず。
本作の時間軸が2008年ではない証拠の一つとして、新聞に載っていた地震が実際に起こっていたことが示されている。
社長の邸宅は免震構造になっていたので、卓也は気づかなかったという。
いくら免震構造でも、船に揺られるようなゆったりとした揺れはあるはずだが……卓也は鈍感だったということにしておこう。
しかし卒塔婆が倒れていることが地震の証拠だと言っても、倒れているのは潮野家の墓のものだけで、奥の方の墓にある卒塔婆は倒れていない。
ロケ地の墓を荒らす訳にはいかなかったのだろうけど、何とか辻褄を合わせて欲しかったところだ。
犯行現場は「忘却の座」ではなく、遺体は外出用の車椅子で「忘却の座」まで運搬された。
これは予想通りだった。
卓也の仕業でも外部の人物の仕業でもなく、医師が死亡推定時刻を偽っていないとすると、話が進まないから。
解剖もせずに法医学者でない町医者が1時間単位で死亡推定時刻を割り出せるというのも無茶だけど。
犯行再現シーンによると、「忘却の座」への一本道で卓也とすれ違ったカメラマンは、卓也が指名手配犯であることに気づき、急いで携帯電話で110番通報を試みた。
携帯電話が不通だったので、一番近い社長の邸宅に電話を借りに来た。
邸宅の庭で犯人に出くわし、110番通報されると困る犯人は突発的にカメラマンを殺害。
窮した犯人は、物置の引き戸の衣装ケースを人形ケースの上に置いてシーツをかぶせ、引き戸の中の椅子にカメラマンの遺体を座らせて隠した。
その結果、座った形に遺体が硬直した。
しかし何日だか前に「招かれざる客が来ている」と指摘して追い返された社長の邸宅にわざわざ電話を借りに行ったらまた追い返される、とカメラマンは考えないだろうか。
それに寄り道せずに社長宅に向かったとすると、庭では運転手が作業をしているので、犯行が目撃されているはずだ。
運転手のいない時刻までカメラマンが現れなかったとすると、急いでいるはずのカメラマンが1時間近く時間を浪費していることになるし、真犯人が殺人から遺体の隠蔽まで可能な時間が極めて短くなってしまい不自然である。
そもそも撲殺に用いたブロックに指の形がついていたから、手についた血を洗い流す時間も犯人には必要だ。
力自慢ではない一般人が成人男性の遺体を汚さずにすばやく運搬するためには、老人介護の要領で体を遺体に密着させないと困難である。
その際に犯人の体や服に血がつく可能性が高いので、体をチェックしたり服を着替えたりする時間も必要だと思う。
安楽椅子探偵の推理では、犯人が物置のソファではなく、引き戸の中の椅子にわざわざ遺体を隠したことから、犯人候補は卓也とマキが物置にストーブを取りに来ることを知っている人物に絞り込まれる。
しかし卓也たちは物置のどこにストーブがあるのか教えられていないので、うっかり引き戸を開けてしまう可能性は低くないはず。
それでもあえて物置に遺体を隠した犯人は無謀だ。
成人男性の遺体を引き戸の中に入れたり、引き戸から取り出したりする力があるなら、ソファーをどかせてストーブを判りやすく手前に出しておき、引き戸に注意を向けないようにするくらいの対策があってしかるべきだと思う。
社長は歩けず2階に行けないので犯人ではないとされているが、邸宅は改築されたばかりである。
携帯電話が普及している時代設定なんだし、改築前から社長が歩けないのならば金持ちなのだから家庭用エレベーターくらい設置するだろう。
足が不自由な状態で撲殺から遺体の隠蔽・運搬まで単独で行うのは無理があるから犯人ではないという理由でいいと思う。
安楽椅子探偵は、カメラマンの携帯電話の電源が切られていたことから、カメラマンの携帯電話の呼び出し音が大音量であることを知っている人物が犯人として、犯人を一人に絞り込む。
しかし携帯電話の呼び出し音が大音量であろうとなかろうと、遺体を隠すなら携帯電話の電源を切るのは自然だ。
犯人を特定する根拠とするには厳しすぎる。
これだけツッコミどころがあれば、そりゃ視聴者による投票もバラけるというもの。
コンピュータ・ネットワークによる集合知に対抗するためには、強引な出題は不可避なのかな。
演劇のようなコミカルな解答編のノリが大好きなので、番組自体は続けて欲しいけど。

コメントする