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août 24, 2008

『うみねこのなく頃に Episode3 Banquet of the golden witch 』


サウンドノベル『うみねこのなく頃に』シリーズの第3話「 Episode3 Banquet of the golden witch 」を第2話に引き続いてプレイした。今月公開されたばかりの最新作だ。

「1986年10月4日から5日にかけて、絶海の孤島に建てられた洋館に集まった富豪一族が、碑文どおりに次々と殺されていく」という大まかな流れは、やはり第1話、第2話と同じ。
第3話では、魔法描写が第2話よりも一層深化する。魔女ベアトリーチェの師匠と称する魔女が登場し、庭園に巨塔や巨人を召喚する大バトルを展開するわ、魔女の眷属が新たに増えて魔女を支援するわで大変賑やかである。勘弁して欲しい。

魔法描写を除き第3話で特徴的な点は、まず碑文の解読者が出た、ということだろう。ただし碑文の解読結果が何であるかは明かされない。明かされるのは解読のヒントと、碑文解読者が得る利益だけである。

次に、第1話、第2話と結末が異なっていることが挙げられる。ネタバレになるので詳細は伏せておく。

物語構成においては、メタ世界における魔女対戦人の駆け引きの比重が大変重くなっている。これが第3話におけるどんでん返しに繋がっていて、読み物としての面白さは第2話を越えている。第2話での展開に呆れて読み進める意欲を失ったプレイヤーを、再度やる気にさせるだけの力が感じられる出来だ。

さて、折角出題編が第3話まで揃ったので、事件の真相について推理、いや予想してみよう。
(以下、ネタバレ注意)

1.一族当主(右代宮金蔵)の死亡原因と死亡時期の怪しさ

金蔵はずっと鍵のかかった自室に引きこもっていて、ごく限られた人間としか面会していない。
第1話では失踪後、焼死体で発見されている。死因が確実に焼死なのか、死体が確実に本人かどうかわからない。
第2話では死が描かれていないが、終盤は魔法描写の中で登場しているため、生死は確実ではない。
第3話では魔法描写の中で死亡しており、焼死体で発見されている。死因が確実に焼死なのか、死体が確実に本人かどうかわからない。即死であり自殺ではないと赤文字発言されているが、その即死したのがいつなのかは明確ではない。「他殺であった」と赤文字復唱することは拒否されているので、病死あるいは事故死の可能性が残っている。

なお、金蔵の死を隠蔽することで最も得をする人間は今のところ、長男である蔵臼である(金蔵の資産の私的流用を隠蔽工作する時間が出来る)。死を隠蔽するには使用人の協力が不可欠であり、使用人に対して弱みとなる。共犯関係や裏切りが生じる根拠となるだろう。

2.島に何人いるのか

第3話における島にいる人数の問答は、叙述トリックが最も強く疑われる。
一族が島に集結した時点で、「この島には18人しか居ない」という文言も、「この島には19人以上が居る」という文言も赤文字復唱を拒否されている。つまり、「島に居るのが17人以下である」あるいは「島に居るのが19人以上である」という可能性がある。そしてその後物語が進み一人も死亡が明らかになっていない時点で「この六軒島には19人以上の人間は存在しない」と赤文字発言がなされる。その後殺人事件が起こっても、「この島に19人以上いない」と赤文字発言がなされる。
以上から指摘できる点を列挙する。

・赤文字発言に時期を明示した表現が含まれて居ないため、赤文字発言は発言した瞬間の状況においてのみ有効と考えるのが相当である。この解釈のもとでは、「この六軒島には19人以上の人間は存在しない」と赤文字発言が出る前には19人以上存在していて、赤文字発言時までに一人減少した可能性を考えることができる。

・死者は人数にカウントするのだろうか?するかしないかは言語上の問題であり必ずしも普遍的でない。「この島には18人しか居ない」と赤文字発言されることが全くないのは、死者が人数にカウントされない場合、「島に居る人間は17人以下である」ことになるからではなかろうか。

・死者が人数にカウントされないという解釈を用いた場合、描写されていない人物 X は、島内の誰かが死亡した時点で18人目となる。正確に言うと(18-死者数+1)人目である。そして最初の死者としてうってつけなのは、死因も死亡時期も不明確な金蔵である。「この六軒島には19人以上の人間は存在しない」と赤文字発言されるまでの間に金蔵が病死または事故死していれば、X は18人目なので赤文字発言に矛盾しない。

・死者が人数にカウントされるという解釈を用いた場合、描写されていない人物 X は19人目である。但し、死体が発見後に海中に投棄されれば18人目となり赤文字発言と矛盾しない。死体が物語の結末まで発見時のままであることを示す描写は極端に少ない。

・描写されていない人物 Y が島に接岸していない船の中に待機していて、状況に応じて島に出入りしていると想定する。「 Y は海上にいるのであって、島にいるのではない」と強弁できないか。無理のある想定ではあるが、島の外部からの侵入可能性について魔女は赤文字発言していない。

3.魔女の手紙

第3話で使用人全滅後、新たな「魔女の手紙」が登場していない。使用人が「魔女の手紙」を用意していたことを示しているヒントかもしれない。
また、使用人たちに続いて死亡しているのが真里亞なので、真里亞が関係者かもしれない。最初の「魔女の手紙」を提出するのは常に真里亞であることに注意。

4.魔法陣

第3話で使用人全滅後、新たな魔法陣が登場していない。使用人が魔法陣を用意していたことを示しているヒントかもしれない。
また、使用人たちに続いて死亡しているのが真里亞なので、真里亞が関係者かもしれない。真里亞は魔法陣の意味に通暁していて、メッセージとしての魔法陣の発信者にも受信者にもなりえることに注意。

5.全滅の理由

第1話と第2話では一族が全滅しているが、第3話では生き残りがいる。そして第3話では殺人事件が事故として処理されている。第3話の生き残りは地下にある黄金の隠し場所の発見者である。

1986年10月6日に何らかの自然現象か事故が発生することが不可避であり、地下に居ないと自然現象か事故によって死んでしまうことを示しているのではないだろうか。例えば火山活動が原因の火山弾、地震、火災、津波(六軒島は伊豆諸島にある設定だが、伊豆諸島では1983年には三宅島で、1986年には伊豆大島で噴火が起きている)。あるいはボイラーの爆発、ガス漏れによる火災や爆発、漏電による火災など。それらによって事件の証拠が失われてしまったのではないか。

遺体に他殺の証拠があれば、生き残りに嫌疑がかけられ相続権を失ってしまう。兎にも角にも、他殺を隠蔽する何らかの出来事が起きなければならない。

6.碑文の謎

第3話で劇中に碑文解読者が現れたものの、プレイヤーには碑文を解読するのに十分な情報が与えられていないのではなかろうか。登場人物に解読が可能なのは、登場人物にのみ共有されている情報があるからではないか。例えば島内各施設の建物構造や配置、金蔵の来歴などは、プレイヤーには曖昧にしか示されていないが、金蔵の子(4兄弟)は最もよく知る立場にある。
劇中の描写だけで解読可能なら、解答編が発表されるまでの間に解読したプレイヤーが現れネット上に流布する可能性が高い。作者の立場から考えると、プレイヤーの次回作への興味をそそるために種明かしをギリギリまで温存しておくのが賢い。

ただし、第3話の碑文解読者は偶然到達しただけで、金蔵の意図したとおりの解読は行っていないという引っ掛けの可能性もある。

7.ハッピー・エンドは何か

第1話で死亡した戦人が、第2話、第3話ではメタ世界から下位世界を俯瞰している。第3話でメタ世界の戦人が第1話、第2話の出来事に言及していることから、彼はメタ世界では同一時間軸上で連続した存在のようだ。
彼はもう人間ではない。魔女と対面したり下位世界を俯瞰している時点で超常現象なのだから、躍起になって魔女・魔法を否定する必要はないはずだ。メタ戦人にとって、魔女・魔法を否定しなければならない理由は何か。以下の理由が考えられる。

・自分と自分の家族、仲の良かったいとこを惨殺した犯人への怒りがあるから。

・犯人が魔女だとすると、人々が魔女への生贄・供物のため殺されたことになり、殺人の理由として納得できないから。

しかし、人間の犯人が判ったところでどうするのだろう。彼には現実世界に介入して歴史を変えるなんて技は使えない。真実を受け入れて退場するしかない。彼にとってはハッピーエンドとは言いがたいだろう。

ここで、一つの仮定を置いてみる。
「戦人が気づいていないだけで、戦人以外の一族や使用人は全員腹黒く残虐で極悪非道な人物である」と。

すると六軒島で起きた事件は、戦人が彼なりに信頼している親戚たちや使用人同士での殺し合いということになる。彼にとってそれは、非常に認めがたい現実だろう。メタ戦人が人間犯行説を展開するほど、彼にとって苦痛となる。

魔女ベアトリーチェは、その現実を魔法で全て説明してくれる。罪を全てベアトリーチェに擦り付けることができる。悪役から一転して、戦人の救い主だ。

真相を知りたいが、知れば苦しむことになる。かといって魔法によって殺されたと認めたくもない……戦人の抱えるこのジレンマが、メタ世界における戦人対ベアトリーチェの戦いであり、ベアトリーチェが無限ループを実現させる力の源泉なのではないか。

魔女ベアトリーチェの正体が戦人の願望から生まれでたものだとするならば、ベアトリーチェがメタ戦人に見せている物語自体が、戦人の願望に反しないよう脚色されていても不思議ではない。つまり、劇中の地の文は公正な神の視点ではない。殺人のプロセスは魔法によるものとして描かれる。罵詈雑言の罵りあいは皮肉交じりの論争として描かれる。片思いが相思相愛として描かれているのかもしれない。アリバイとなる行動描写も全くの虚偽かもしれない。

この説に従えば、オープニングテーマの歌詞にある「愛がなければ視えない」というのは、「愛がなければ真相が視えない」のではなく、「愛がなければ虚飾や幻想が視えない」ということを意味していると考えられる。

ただ、物語全体が嘘だらけだと、謎解きを期待する読者側に対して作者側がやりたい放題になる。読者の反感を買わないように、主人公的存在である戦人が居る下位世界のシーンだけは脚色されてないと考えた方がいいかもしれない。この場合、下位世界の戦人が杭の刺さって倒れてる A さんを目撃をすれば A さんに杭が刺さって倒れている事実は確定的だが、A さんが倒れるまでの過程を目撃していなかったり、自ら医学的な死を確認していなかったりする場合は、A さんに対して使われた魔法で杭が刺さったとか、A さんは死んでいるとか描写されていても確定的でないということになる。

8.オープニング・ムービー

オープニングムービー に、Music Box で見ることが出来る別バージョンがある。
冒頭に出てくる文章は、「 No Dine. / No Knox. / No Fair. / In other words it is not mystery.(後略) 」。
すなわち、この作品はヴァン・ダインの二十則やノックスの十戒を守った古典的ミステリーではないしフェアプレイもしないよ、ミステリーじゃないよ、と宣言している。
『ひぐらしのなく頃に』で非難を浴びたことへの意趣返しであり、同様の非難が本作になされることへの予防線だろう。


9.密室の多さ

密室殺人が多すぎる。そんなタイトルの小説があったような気がするが本当に多い。「偶然密室状況が出来上がっただけでした」オチはよくあるネタだけど、本作のように毎回毎回密室殺人ばかり起こるということは、よほどの必然性、実行者の強い意志がないと読者を納得させられない。特に第3話の第一の密室なんて推理クイズ本に載ってる問題みたいに凝りすぎた密室だ。

六軒島の面々が密室教の信者なら話は早いんだが……。

現実的な説としては金蔵の命令、犯人の趣味くらいしかない。後出し上等な「なく頃に」シリーズで動機の推理は困難。

ネタ:infinity シリーズ

閉鎖空間、ループ、シュレーディンガーの猫と来れば「 infinity 」シリーズだ。そのネタを使って解決してみよう。

・ベアトリーチェはキュレイだから、年をとらないし頭が割れても平気。

・犯人はΨの使い手。Ψを使えば密室を作るのも、魔法陣を描くのも、魔女の手紙を作成るのも簡単。動機?ムシャクシャしてやった。相手は誰でもよかった。

・魔法を否定するにはブリックヴィンケルさんを呼んできて観測してもらえば確定。

楽勝楽勝。タイトルは『 October6 - the act of infinity - 』とかそのへんで。

投稿者 Dormeur : août 24, 2008 05:57 PM

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