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août 13, 2008

『 12RIVEN -the Ψcliminal of integral- 』

12Riven -the ψcliminal of integral-(通常版)

12RIVEN -the Ψcliminal of integral- Windows版


恋愛をテーマにしたノベルゲームが多い中、巧みな伏線、意外な種明かしに力点を置いた異色シリーズ『 Never7 -the end of infinity- 』『 Ever17 -the out of infinity- 』『 Remember11 -the age of infinity- 』。それに続く新シリーズが製作中というニュースにファンの期待は高まっていた。

しかし製作元の KID が倒産。今度は" infinite "にお蔵入りかよ、と皮肉な運命に悲しくなったものだが、サイバーフロントが開発を継ぎ、ついに発売された。『 12RIVEN -the Ψcliminal of integral- 』である。シリーズファンの私が予約購入し、寝食を削って即クリアしたことは言うまでもない。今から思えば、よく意欲が湧いたなと思わなくも無いのだが、個人的事情はさておいて、作品の内容を。

『 12RIVEN 』は二人の視点で物語が進む。

一人は、高校生の少年、錬丸。彼は差出人不明のメールを受け取る。今日2012年5月20日の正午、インテグラルの屋上で少女が殺されるのだという。錬丸が廃ホテル「インテグラル」の屋上に駆けつけると、そこには離れ離れになっていた幼馴染の少女、ミュウが居た。再会を果たした2人だったが、瞬間移動など人間離れした能力を発揮する謎の少年、霧寺メイに襲われる。女性警官と謎の少女が現れた隙に錬丸とミュウは逃げ出すが、霧寺と同じような能力を持つ武装集団に囲まれてしまい、進退窮まった2人はホテルの建物から地上へ転落した。
水の溜まったプールに落ち、命拾いした2人は街へ向かう。しかし異変が起きていた。街に誰もいないのだ。彼らは人間の姿を探して街を彷徨う。「なぜ人々が姿を消したのか」という疑問がこちらの視点の中心である。

一方、警視庁の女性捜査官である三嶋鳴海は、後輩の捜査官、真琴から緊急事態を知らせるメールを受け取る。ミュウが正午にインテグラルの最上階で殺される、第弐エクリプス計画を阻止するためにミュウを守ってほしい、と。鳴海が「インテグラル」の屋上に駆けつけると、少女が少年に銃を突きつけられたところであった。鳴海は銃を奪われ、手錠で拘束されてしまう。そこへミュウとは異なる青い髪の少女が現れるが、鳴海は青い髪の少女が銃撃されるのを眺めることしかできなかった。
応援部隊に助けられ、青い髪の少女を病院に運び込んだ鳴海は、所持品から少女がチサトという名だと知る。チサトは意識不明の重体だ。緊急手術が行われるが、一人の少年が乱入し取り押さえられる。事情聴取を行うも、彼は記憶喪失だった。所持品からチサトの弟であるオメガと判明する。
「インテグラル」での出来事について、最も事情を把握していると思われる真琴は行方不明だった。同僚を信用できない鳴海は、オメガを引き連れ捜査に乗り出す。「第弐エクリプス計画とは何か」という疑問がこちらの視点の中心である。

その後、それぞれの視点で物語が結末を迎えたあと、真相が明らかになる物語に進めるようになる。

真相を知ったとき、プレイヤーは衝撃を味わうことだろう。私は見事にトリックに引っかかりましたよ、ええ。『 Ever17 』を越えるトリックをファンに期待される中、うまく仕掛けたと称えたい。
" integral "(完全)と名乗るだけあって、物語はすっきりまとまっている(まとめにかかっている、と言った方がいいかも)。『 Remember11 』と違って、作中の謎の真相を一事が万事、種明かししてくれるのはありがたい。よくもまあこんな珍妙なプロットを組み立てたものだと、そのぶっ飛んだ発想力に感嘆せざるを得ない。しかし物語のトリックが複雑化した分、真相が SF の独自理論で固められているので、説明されても万人に受け入れられがたい点が惜しい。抽象的過ぎて直感的に理解しづらいのだ。私が理論を理解しきれていないだけかもしれないが、矛盾が生じているのではないかと思われる部分も散見される。
とはいえ、抽象的な概念を捏ね繰り回す哲学好きには興味深い料理だろう。思考実験としての物語、と言った方がいいかもしれない。

プレイヤーには「ミステリもの」として謎を解いてやろうと息巻くよりは、展開にそのまま流されて行くことをオススメしたい。展開が中だるみしがちだった『 infinity 』シリーズよりもアクションシーンが豊富で、ハリウッド映画的なスピード感、躍動感がある(あくまで前シリーズと比べて、だが)。ただしそれと引き換えに、個々のキャラクター性が描写不足で深みに欠けるのは否めず、痛し痒しといったところだ。

本作で一番目につく問題は、そのシナリオを引き立てるべきグラフィックだ。
不安定な製作体制のため、原画の一部を外国のスタジオに外注したのだろう。グラフィックの少なくない部分で、キャラクターがデザイナーと別のタッチになっている。いわゆる「作画崩壊」という奴だ。よりによって読者の気分を盛り上げたり、緊張を強いたりするシーンで間が抜けた絵が表示されるものだから、興醒めどころか、MAD 作品を見るかのようで笑ってしまう。TV アニメーションの世界では人手不足が常態化しているので作画崩壊は珍しくないが、ゲームソフトで作画崩壊に遭遇するとは思わなかった。
散々発売延期をしておいてこの様とは非常に残念。しかし発売中止になるよりかはマシだ。ファンなら我慢すべきなのだろう。何も知らずに購入した人には関係の無い話だが……。

内容の良し悪しの評価はさておいても、製作会社の倒産を乗り越えて発売された作品という点では、コンピュータ・ゲームの歴史に名を残す存在だろう。

投稿者 Dormeur : août 13, 2008 11:57 PM

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