『ダブルキャスト』は1998年に発売されたプレイステーション用のゲームソフト。
「やるドラ」(観るドラマではなく、やるドラマ)シリーズと銘打たれ、プレイヤーが選択する主人公の行動によってドラマの展開と結末が変化する。
フルボイス(主人公を除く)・フルアニメーションで、制作費が結構かかっていると思われる。
10年も前のプレイステーション用タイトルなので、今時の感覚から見るとさすがに画質は荒い。
ゲームシステムも良いとは言えない。
作品のコンセプトとして元々繰り返しプレイを前提としているにも関わらず、クリアデータセーブとシーンセーブが分離されていないので、異なるエンディングを目指して再プレイを行う場合でも「データをロードして最初のシーンからやり直す」という作業を行わなければならない。
それに、セーブは特定のポイントでしか行えない。
KID のアドベンチャーゲーム(『 Memories Off 』シリーズや『 Infinity 』シリーズ」)のゲームシステムの操作性が如何に優れているか、よく判る。
また、CD-ROM にフルボイス・フルアニメーションを収めなくてはいけないという容量上の制約で仕方ないとはいえ、ディスク2枚組のため、再プレイの際にディスクの入れ換えを強制されるのも苦痛を生じさせる。
物語は、大学の映画研究部の新人部員が主人公を務める。
彼が部の飲み会の帰りに街中で酔いつぶれているところを、同い年くらいの少女に介抱される。
ところが少女は「赤坂美月」という名前以外記憶を失っていると語る。
主人公は彼女を自宅に招き、共同生活を始めることになる。
主人公が所属する映画研究部は夏休みに映画を制作するにあたって主演女優を確保する必要に迫られたため、主人公は美月を部に紹介し、映画制作が始まる。
その映画の脚本は、かつて映画研究部が撮影を行ったものの製作中に監督と主演女優が怪死したため、長らく封印されていたといういわくつきの代物だった。
映画制作が進むにつれて、謎の男に美月が襲われたり、ロケ先の屋敷で主人公の頭上に植木鉢が落ちてきたりと、奇妙な事件が発生するようになる。
美月の正体、事件の真相を求めて、プレイヤーはドラマを展開させていく。
しかし選択肢を誤ると、物語は凄惨な結末を迎える。
一つ間違えただけでロケ先の屋敷で部員が皆殺しにされる。
ロケ先から帰ってくることが出来たとしても、映画が完成する前に主人公は殺される。
作中で語られる物語の核心はあっけなく、ありがちとも思える設定ではある。
しかし思考を掘り下げるとプレイヤーが選択した主人公の行動と真犯人の行動がちゃんとリンクしていて、各エンディングに至るまでの必然性が丁寧に作られていることが判る。
サスペンスやホラーの体裁をとってはいるが、軸となっているのはシンプルなラブ・ストーリーである。
繰り返しプレイしながら考えないと真犯人の真意を掴めないだけに、ゲームシステムの不備が惜しい。
ネタバレ上等、という方は下記の web ページを参照するのが手っ取り早いです。
コメントする