26 mai 2008

『らき☆すた』を観た

2007年に一世を風靡した TV アニメ作品、『らき☆すた』。
妙なオープニング主題歌と絵柄で敬遠していたけど、ふと勢いがついて一気に全24話を通し観た。

オープニング主題歌、「もってけ!セーラーふく」は『涼宮ハルヒの憂鬱』のエンディングテーマ『ハレ晴レユカイ』のヒットを受け継いで、またへんてこなダンスを繰り広げているなーという印象を受ける。
そもそも知的障害を起こしているのではないかと疑うような支離滅裂で聞き取れない歌詞とハイテンションな合唱が嫌になる。
しかしこれは好意的に受け取れば、女子高生が見せるような、かみ合わないまま唐突な展開で進む会話や喧しさを表現しているのかもしれない。
好き嫌いや理屈はさておいて、こういうキチガイじみたものを意図して作りあげる能力はすごいな、と思う。

本編は『あずまんが大王』のエピゴーネン型の、女子高生の緩い日常生活をとりとめもなく羅列したコメディ。
原作が4コママンガらしく、それを踏襲して特に軸となるストーリーはない。
メインキャラクターは恋愛や部活に打ち込むような現実的な女子高生像とはかけ離れた、萌え4コママンガらしい少女たち。
他の萌え4コママンガと違うのは主人公的な少女、こなたのキャラクターで、女の子だが男性向けのマンガ、アニメ、ゲームが好きなディープなオタクという設定になっている。
彼女を通じたメタ・オタク的な描写が本作の肝だ。
現実に彼女のような人物が存在したとしたら、オタク同士でまとまるかクラスで孤立するかで、本作のように非オタクな同級生といつも仲良くつるんでいるという状況はなかなか存在しないと思われる。
オタクである自分の存在を容認する可愛い女の子に囲まれていたい、という男性オタクの願望を代理する位置に彼女はある。
その願望を支えるため、男性キャラクターはあまり登場しないし、メイン・キャラクターは恋愛をしない。
比較的多く登場する男性キャラクターといえばこなたの父で、それもマンガやゲーム好きで娘と非常に仲良しという設定であり、願望世界を妨げない。

本編ではマンガ、アニメ、ゲームの引用が折々になされ笑いどころとなっている。
ゲストキャラクターとしてアニメ店長や涼宮ハルヒが登場することもある。
三谷幸喜作品でのギャグ「赤い洗面器の男」の話をキャラクターが話しているのには吹いた。
「赤い洗面器の男」と同様のパターンで、キャラクターが「くさい」という話題で同調しあっているが話題が変わってしまい、視聴者には何がくさいのか結局判らない、というギャグが全編に渡って存在する。

各話の終盤は「らっきー☆ちゃんねる」という架空の番組という設定で、中学生少女アイドルという設定のキャラクター小神あきらと、声優自身をキャラクター化したアシスタント白石みのるが登場する。
小神あきらがアイドルの仮面を剥がして白石みのるに突っかかり、傲慢で腹黒い地の姿を見せてくだを巻くという展開になっている。
楽屋ギャグなのだが本編よりこちらの方が面白いような気がする。

さらに独特なのはエンディング。
本作では特定のエンディングテーマソングが存在しないし、特定の映像・音声が毎回繰り返されるということもない。
クール前半はメインキャラクターたちがカラオケに行っているという設定で、カラオケの個室の扉を正面に据えた静止画のショットが映り、彼女らの掛け合いと歌が流れる。
古い特撮ヒーローやアニメのテーマソング、ひと昔・ふた昔前のヒットソングが歌われる。
クール後半は屋外ロケで撮影されており、小神あきらが歌う演歌のプロモーションビデオ(実写)が流れたり、声優の白石稔が自然風景の中、一人でアカペラで自作の歌を歌ったりするなど、前代未聞の様相を呈する。
毎回のエンディングでどんなパフォーマンスが行われるのか、視聴者に期待させ笑わせる仕掛けだ。

結局「らっきー☆ちゃんねる」とエンディングの展開が気になってついつい全24話観てしまうことになった。
日常生活の中でありがちな事柄を掬い上げたネタ(あるあるネタ)も多々あるが、オタク文化やギャグの元ネタであるマンガ・アニメ・ゲームの知識がないと理解できない部分も多いので、マニア向け。
そもそも絵柄の部分で一般人は近づいてこないとは思うけど。
人気作品というだけでなく、作品構成と演出の面で30分アニメ作品として型破りな試みを行ったということでもマニアに記憶される作品となろう。

ところで、本作のヒットによりファンが作品のモデルとなっている神社を訪ねだしてついには本作で町おこしを始めた……という話題がマスコミで報道されたことがある。
メインキャラクターの二人の家業が神社で、そのモデルが現実の神社であるということからだそうだが、作中での神社の存在はかなり希薄だ。
オープニングに1カット神社が映るのと、神社が参詣客で賑わう正月に家業を手伝うエピソードが数分あるくらいで、いわゆる「聖地巡礼」を行う動機を誘うような町並みや自然風景の個性を感じない。
東京都内から東武鉄道1本で行けるので、首都圏のオタクが軽い気持ちで訪問しやすいということから生じたブームということなんだろうか。
あるいは原作のマンガでは結構神社が登場するのかもしれない。
……ちょっと調べてみたら、アニメ雑誌の「 NEW TYPE 」で聖地巡礼の案内が付録されて訪問者が増え、町の商工会が支援してイベントを開催しさらに訪問者が増加、という流れのようだ。

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文学部出身ですが文学は苦手です。

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