去年の2月頃に観たロードムービーにしてコメディな映画。
プルーストの研究者で同性愛者(この設定で早くも笑ってしまう)のオッサンが恋人(もちろん男)と研究成果を同業者に奪われて自殺を図り、妹一家のもとに引き取られるところから物語は始まる。
この妹一家と言うのが曲者ぞろいだった。
妹の夫は勝者になるための自己啓発法を出版して一財産築こうと野心を燃やしているが、どう見ても負け組です本当にありがとうざいました、な人物。
何かと一言多く、通俗心理学をひけらかして場を白けさせるオヤジである。
息子はニーチェにかぶれ、空軍のパイロットになるまで沈黙するという誓いを立てているので、会話は筆談で行う。
自分の家族にはうんざりしているが、妹のことは愛している。
その妹はティーンエイジにも満たない感じの小太りのメガネっ子。
可愛いことは可愛いのだが、赤ちゃん体型で美少女コンテストに出場しようというのは無理がある。
その祖父はドラッグに溺れ色欲魔なため、老人ホームを追い出された不良ジジイ。
下品な発言ばかりするが、孫のメガネっ子とは意気投合している。
妹が一番まともに見えるが、こんな一家で頭がおかしくならないのはやはり変わり者かもしれない。
序盤の食事シーンで見事にキャラクターを観客の心に刻んだところで、物語は次のステップへ向かう。
美少女コンテスト「リトル・ミス・サンシャイン」の本選に出場するはずだった子が出場できなくなったため、次点であるメガネっ子が繰り上がりで出場できることになったと知らせが入る。
会場は隣の州。
今から車を飛ばせばギリギリコンテストの開始時刻に間に合う。
ということで取る物も取り敢えず、一家はオンボロのフォルクスワーゲンのマイクロバスに乗って会場へ向かう旅に出発するのである。
しかしこんな濃いメンバーでの旅が順調に進むはずもない。
そしてコンテスト会場で披露するダンスは不良ジジイが指導したというのが、何となくオチを予感させる。
お約束どおり紆余曲折があり、お約束どおり予感は的中する。
だが、そこで再生した家族の絆を見せられ、エンドロールが流れ始めたときには何となく爽快で希望のある気分にさせられる。
ロードムービーとコメディ、両方のお手本のような作品。
アカデミー賞脚本賞を受賞したのも納得である。

コメントする