ドイツ映画というと古典的作品くらいしか観たことがなかったのだけど、現代ドイツ映画で初めて観たのがこれ、『善き人のためのソナタ』。
去年の2月くらいに映画館にて鑑賞。
現代ドイツと言っても、映画の舞台は少し時代が下って、1980年代の東ドイツだ。
東ドイツの秘密警察である「シュタージ」の役人が主人公で、監視国家での市民生活の実態とシュタージの活動が描かれている。
主人公の無表情の堅物で、妻子も無く、シュタージの仕事と国家に忠誠を捧げているロボットのような人物。
盗聴などの国民生活の監視業務の指導教官も勤め、管理職への出世を好まず、現場での実務に力を注いでいる。
ある日、彼は舞台脚本家に反体制の疑いを持ち、脚本家とその同棲相手の舞台女優の監視を開始する。
脚本家が家を留守にしている間にチームで家に立ち入り、家中に盗聴器を仕込み、盗聴を行う。
しかし盗聴を続けているうちに、彼の心の中で何か変化が生じていく。
東ドイツ消滅後、シュタージの監視活動の記録を監視対象であった本人が閲覧できるようになった。
自分の記録を閲覧した脚本家は、自分が盗聴されていたこと、密告者が居たこと、そしてそれにもかかわらず、自分を見逃した人物の存在を知るのである。
映画なりの脚色はあるだろうけど、あまり見聞きすることがなかった東ドイツのおぞましさを垣間見れてとても興味深かった。
同時に、「自分の信頼していた人物が実は密告者だった」と記録によって判明することが、東ドイツ出身のドイツ人にとって大きな心の傷になっているという現実も見えてくる。
ナチスのトラウマに加えて東ドイツのトラウマまで抱えさせられて、ドイツ人は気の毒だなと思わされてた作品だった。

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