3 juillet 2006

『ひぐらしのなく頃に』アニメ版

TVで現在放送中の『ひぐらしのなく頃に』のアニメ版
今のアニメ業界は粗製濫造だから、1クール13話、出題編だけで終わりだろうな、と思ったら2クールとは。
しかしアニメ版を見ているとダイジェストのようで物足りない。
で、ここで気づいたのだけど、原作ゲームにおける「 TIPS 」というのが意外と作品に重要な力を果たしているんじゃなかろうかと。

「 TIPS 」とは何か、を説明するのは難しい。
『ひぐらしのなく頃に』は一本道の小説だが、場面転換の際に TVCM が入るようにインターミッションが頻繁に入る。
そのたびに「 TIPS 」が追加され、読めるようになる。
それは本編に関係した短文で、文庫本の1ページから2ページ程度。
本編と同時に進行している別場面だったり、何者かの手による手記だったり、公文書だったりする。
読まずに先に進んでもいい。
で、この「 TIPS 」が作品世界を補う役割を果たしていて、時に物語の謎を推理する手がかりとなっている。

私はせっかちだから、「 TIPS 」が追加されるごとに逐一読んでいた。
だけど、放送であるTV アニメではこれは再現できない。
マウスをクリックすることすらなく、ただ画面を眺めるだけ。
作品を受容するリズム感の違いとともに、作品世界へ引き込まれる強度が違う。

「TIPS」を読んでいくことは、大塚英志がビックリマンシールの流行に見た、「大きな物語」へのアクセスという行為にも似ている。
「 TIPS 」のある原作とないアニメ版とでは、作品に対して受け手に許されたアプローチの仕方に差異があるのだ。
そもそも『ひぐらしのなく頃に』という作品自体、同じ物語設定の各編で異なる惨劇を発生させ、惨劇の原因である隠された共通の真相=「大きな物語」へ受け手の関心を促す構造になっている。
関心にサービスしてくれる原作と、してくれないアニメ版。
リズムの差異に加えてアクセシビリティの差異がアニメ版の物足りなさに繋がっているのではないか。

この原作とアニメ版の差異は、アニメ版を DVD 化すれば克服可能ではある。
DVD の機能を使って間に TIPSに相当する映像を見るかどうか、視聴者に選択を迫ることができる。
そこまで原作に忠実にあるなら、アニメーションドラマ作品としては画期的な存在になると思う。
ただ、映像作品においてその手法が正解かどうかは判らない。

いやまあ、アニメ版が物足りないのは単純に心理描写やエピソードを削りすぎてるからだろ、と言われればそうとも言えるんですけどね。

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