さそうあきら『神童』(全3巻、双葉文庫)
ISBN:4575724912
ISBN:4575724920
ISBN:4575724939
『のだめカンタービレ』の前に読んでおこうと思ってたのに後回しになってしまった。
言わずと知れた……って知らない人の方が多いかもしれないけど、1999年文化庁メディア芸術祭優秀賞受賞作。
名門音楽大学を目指しピアノの練習に励む主人公の青年、和音はある日、少年野球のピッチャーを務める小学生の少女に出会う。
快活で野球好きな彼女、成瀬うたは実は、類まれなピアノの才能を持つ天才少女だった。
うたの助力を得て主人公は見事志望大学へ進学。
うたもまた、音楽界の表舞台へと躍り出てその才能を世間に知らしめていく。
そのままうたは順調に国際的スターに成長すると思いきや、終盤は衝撃的な展開に。
そして物語は大団円を迎える。
『のだめ』の音楽描写に心が高揚してしまう人なら是非オススメ。
福島聡『6番目の世界』( BEAM COMIX )
ISBN:4757713843
90年代初頭、著者のマンガ家駆け出し時代の作品と近作を収めた短編集。
その一作『 UFO 』は山口県で少年に妻子を殺されて、夫が少年を死刑にしろと言ってるアレを思い起こさせます。
福島聡『 DAY DREAM BELIEVER again 』(全2巻、BEAM COMIX)
ISBN:4757717199
ISBN:4757717202
「モーニング」に連載されて打ち切りになった作品を完結させたもの。
博物館に勤める25歳の女性、日下部霞。
彼女は夜には体を売る仕事をしていたことがバレてしまい、博物館を辞めさせられてしまう。
そんな彼女にはクビに月型の「刻印」があった。
ある日、彼女のもとに同様の「刻印」を持った男二人が現れる。
彼らは超能力者で、その力を生かして旅をしながら犯罪を重ねて生きてきた。
霞は彼らの計略にひっかかり、自身の能力に気づかされ、家を捨てて彼らとともに旅に出る。
霞の能力とは、人が封印していた記憶を実体化させるというものだった。
一方、彼らが起こす不可解な事件に興味を持ったある雑誌記者が調査を始める。
そして霞と記者が出会ったとき、二人が封印していた記憶が蘇る。
結局二人はどうなったのか。
流される血は実体化された記憶、タイトルが示すように白昼夢なのか。
境界が曖昧なまま、物語は閉じられる。
ひぐちアサ『おおきく振りかぶって』(第5巻、アフタヌーン KC )
ISBN:4063143937
夏の大会初戦が始まった。
しかし1巻で3回の表までしか行ってない。
しかも月刊連載。
ライフワークにするつもりなのか。
あびゅうきょ『晴れた日に絶望が見える』(バーズコミックススペシャル)
ISBN:4344802012
黒いベールで全身を覆った独身無職38歳のオタク男、「影男」。
絶望の中、町を彷徨う彼は不思議な女性たちに出会い、罵倒されていく。
作者が彼に示した救済は、身体を捨て魂を「靖国」に一体化することだった。
自虐とペシミズム、軍事オタクの精神に偏執的な描き込みがもたらす空間の迫力が魅力的な短編「影男」シリーズが半分。
残り半分は、女主人公が活躍する戦記もの短編。
妻を娶れず戦士として戦うこともできない男の人生に価値はなく絶望のみがある。
そして女は強く美しく、絶望独身男性は脆弱で醜い……という思想の徹底ぶりには清清しさすら覚える。
これは掘り出し物だわ。
作者の Web サイトに掲載されている文章も面白い。
あびゅうきょ『あなたの遺産』(バーズコミックススペシャル)
ISBN:4344803671
あびゅうきょという人は1980年代から細々とマンガを描いていたらしい。
まだ日本が絶望感に侵食されておらず、主人公の少女の無垢性に若い作者が希望を託していた時代の戦記もの短編集が本書。
第二次世界大戦時、アメリカ軍のB29により行われた日本空襲は、日本の神官の要請のもとで行われた破壊と再生の儀式だった――という凄い解釈が登場する。
絵柄が80年代してて懐かしいが、やはり偏執的な描き込みが特徴的。
あびゅうきょ『絶望期の終わり』(バーズコミックススペシャル)
ISBN:4344806492
再び「影男」シリーズである。
『晴れた日に絶望が見える』で靖国神社にたどり着き「死の拠り所」を見つけた影男だったが、国に殉じる手段もなければ教育も受けていない現代の絶望男性には「俗世」にも「死の拠り所」にも居場所はないと作者は言う。
そして影男は俗世と靖国神社の間を彷徨い続けるのだ。
作中、愛知万博の廃墟で「人類の死と絶望」をテーマに行われる万博「死・絶望博」の皮肉と悲観には大笑いするとともに切なくなった。
石川雅之『もやしもん』(第1巻―第2巻、イブニング KC )
ISBN:4063521060
ISBN:4063521265
世界初か、細菌をテーマにしたマンガ。
種麹屋の息子、直保は蔵元の息子、蛍とともに上京し、農業大学に入学する。
直保には細菌が肉眼で見えるという特殊能力があった。
祖父の紹介で細菌の研究を行っている樹教授と知り合った直保は、その能力を見込まれ研究室に出入りをさせられるようになる。
樹教授だけでなく先輩たちも癖のある連中ばかり。
そんな中で展開する直保の学生生活が描かれていく。
可視化された細菌たちのデザインと会話がコミカルで可愛い。
そしていかに細菌が我々の生活に満ちているか勉強になる。
細菌により人間にもたらされた恩恵の一つに酒があるが、作中に登場する酒が何よりうまそうだ。
酒好きには是非おすすめ。
ちなみにこの作品で紹介された地酒「龍神丸」、そして同じ蔵元でこの作品をきっかけに限定発売された純米吟醸生酒「かもすぞ」は注文が殺到して入手不可能。

もやしもんの菌はのだめの最新刊にも登場してましたな。
いろんなところをかもしているようですな。
描かれていないだけで、萌え萌え美少女やイケメン美男子の体表面にも体内にも細菌は住まってるのでありまして。
さいとう・たかをや平田弘史の劇画であっても、『もやしもん』の菌を添えると途端に和やかに。