ざちお『はねむす』(ダイトコミックス)
ISBN:4886534643
Web 上で連載されているマンガ『はねむす』を単行本化したもの。
Web なら無料で読めるから別に買わなくてもよかったんだけど、やはり本って形の方が読みやすい。
本書には第7話まで収録されている。
19世紀末か20世紀初頭のヨーロッパの田舎を思わせる村に住む一人の男のもとに、7歳の少女がやってくる。
彼女は彼の知己らしい「教授」と呼ばれる人物からの手紙を持っていた。
その手紙を読んだ彼は、父親として彼女を育てることにする。
「るり」と言う名のその少女の背中には、鳥のような翼があった。
そんな人間は、その村では「はねむす」と呼ばれ老人たちの信仰の対象になっているらしい。
とは言え、るりは普通の女の子と変わりない。
るりと彼女を温かく見守る人々の姿が、ほのぼのと描かれていく。
いやあ、るりは可愛いわ。
なんかこう、いじくりまわしたくなりますな。
しかしそういうことを口に出すと危険人物と思われる世知辛い世の中です。
きづきあきら『ぼくのためのきみときみのためのぼく』( Seed ! comics )
ISBN:4901978470
ぺんぎん書房が倒産したと知り、きづきあきらの既刊を急いで入手しようと試みたものの店頭在庫を入手できたのはこれだけだった。
古書でもプレミアムがついた値段になってます。
本書は同人誌で活動していた時代のきづきあきらの初期短編作品を集めたもの。
近親姦、主従関係、フェティシズム、ストーキングなど、少し歪んだ様々な性愛が描かれている。
センスの良さはビンビン感じるけど、切れ味は近作と比較するとちょっと鈍めかな。
魚喃キリコ『 blue 』( MAG COMICS )
ISBN:4838708963
7年間ずっと読もう読もうと思って果たせずにいたけど、やっと読んだ。
そのうち1年間は買ってから行方不明になっていたのだが……。
海に面した地方都市の女子高。
そこに通う桐島カヨ子は、同級生の遠藤雅美に恋をする。
心を通い合わせたり、傷つけたり、傷ついたり。
少女たちの特権的な一季節を切り取った物語。
背景は極力省かれ真っ白。
そこに精密な切り絵のようなシンプルな描線の平面的な人物が配置されて、少女たちの織り成す不器用で、儚くて、美しい心模様が静かに綴られていく。
画面に吸い込まれそうでちょっと怖くもあるけれど、名作ですな、これは。
比嘉富子, みやうち沙矢『白旗の少女』( BETSUFURE KCDX )
ISBN:4063414515
あまりにも有名な実話『白旗の少女』をマンガ化したもの。
1945年4月、激戦地となった沖縄で、家族とはぐれてしまった7歳の少女富子。
米軍に、あるいは味方であるはずの日本兵に住民が次々と殺されていく凄惨な光景の中、彼女は戦場を一人彷徨い生き抜いていく。
オチが分かってるのにクライマックスで目に涙。
この手の演出には弱いのよ私。
少女マンガ方面の絵柄で描かれる戦争ものってところで違和感はあるけれど、死体がゴロゴロ転がっている悲惨な場面をなかなか頑張って描いている。
こうやって幼い読者に戦争の悲惨さが語り継がれるのはよいことだ。
もちろん、単に「戦争は嫌だ」で思考停止してしまうのはダメだけど。
岡本一広 『トランスルーセント 彼女は半透明』(第1巻‐第3巻、MF コミックス)
ISBN:4840113181
ISBN:4840113238
ISBN:4840113505
体の一部、時には全部が透明になってしまう病気「透明病」に悩む中学生の少女、しずか。
演劇部に所属し女優を目指す彼女にとって、その病気はハンディキャップとならざるを得ない。
しかしガキで阿呆だが真っ直ぐな性格の同級生の少年、マモルによって彼女は励まされていく。
初々しくて爽やかな二人の純情ラブストーリー。
ちょっと朴訥とした絵柄が物語に似合ってる。
そして読みきり連載だからか、一話一話、大ゴマを使って盛り上げるのが上手い。
お気に入りは第2巻、新入生歓迎の寸劇を行う羽目になった生徒会長に、しずかが演技のお手本を示すシーン。
20年、30年前ならこういうお話は女の子向けって言われただろうな。
男性向けマンガの少女マンガ化、なんて言葉が頭に浮かぶ。

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