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février 28, 2006

2005年に読んだマンガ 2006.2.28

ざちお『はねむす』(ダイトコミックス)

[ ISBN:4886534643: bk1 - jbook - amazon ]

Web 上で連載されているマンガ『はねむす』を単行本化したもの。
Web なら無料で読めるから別に買わなくてもよかったんだけど、やはり本って形の方が読みやすい。
本書には第7話まで収録されている。

19世紀末か20世紀初頭のヨーロッパの田舎を思わせる村に住む一人の男のもとに、7歳の少女がやってくる。
彼女は彼の知己らしい「教授」と呼ばれる人物からの手紙を持っていた。
その手紙を読んだ彼は、父親として彼女を育てることにする。
「るり」と言う名のその少女の背中には、鳥のような翼があった。
そんな人間は、その村では「はねむす」と呼ばれ老人たちの信仰の対象になっているらしい。
とは言え、るりは普通の女の子と変わりない。
るりと彼女を温かく見守る人々の姿が、ほのぼのと描かれていく。

いやあ、るりは可愛いわ。
なんかこう、いじくりまわしたくなりますな。
しかしそういうことを口に出すと危険人物と思われる世知辛い世の中です。

きづきあきら『ぼくのためのきみときみのためのぼく』( Seed ! comics )

[ ISBN:4901978470: bk1 - jbook - amazon ]

ぺんぎん書房が倒産したと知り、きづきあきらの既刊を急いで入手しようと試みたものの店頭在庫を入手できたのはこれだけだった。
古書でもプレミアムがついた値段になってます。

本書は同人誌で活動していた時代のきづきあきらの初期短編作品を集めたもの。
近親姦、主従関係、フェティシズム、ストーキングなど、少し歪んだ様々な性愛が描かれている。
センスの良さはビンビン感じるけど、切れ味は近作と比較するとちょっと鈍めかな。

魚喃キリコ『 blue 』( MAG COMICS )

[ ISBN:4838708963: bk1 - jbook - amazon ]

7年間ずっと読もう読もうと思って果たせずにいたけど、やっと読んだ。
そのうち1年間は買ってから行方不明になっていたのだが……。

海に面した地方都市の女子高。
そこに通う桐島カヨ子は、同級生の遠藤雅美に恋をする。
心を通い合わせたり、傷つけたり、傷ついたり。
少女たちの特権的な一季節を切り取った物語。

背景は極力省かれ真っ白。
そこに精密な切り絵のようなシンプルな描線の平面的な人物が配置されて、少女たちの織り成す不器用で、儚くて、美しい心模様が静かに綴られていく。
画面に吸い込まれそうでちょっと怖くもあるけれど、名作ですな、これは。

比嘉富子, みやうち沙矢『白旗の少女』( BETSUFURE KCDX )

[ ISBN:4063414515: bk1 - jbook - amazon ]

あまりにも有名な実話『白旗の少女』をマンガ化したもの。

1945年4月、激戦地となった沖縄で、家族とはぐれてしまった7歳の少女富子。
米軍に、あるいは味方であるはずの日本兵に住民が次々と殺されていく凄惨な光景の中、彼女は戦場を一人彷徨い生き抜いていく。

オチが分かってるのにクライマックスで目に涙。
この手の演出には弱いのよ私。

少女マンガ方面の絵柄で描かれる戦争ものってところで違和感はあるけれど、死体がゴロゴロ転がっている悲惨な場面をなかなか頑張って描いている。
こうやって幼い読者に戦争の悲惨さが語り継がれるのはよいことだ。
もちろん、単に「戦争は嫌だ」で思考停止してしまうのはダメだけど。

岡本一広 『トランスルーセント 彼女は半透明』(第1巻‐第3巻、MF コミックス)

[ ISBN:4840113181: bk1 - jbook - amazon ]

[ ISBN:4840113238: bk1 - jbook - amazon ]

[ ISBN:4840113505: bk1 - jbook - amazon ]

体の一部、時には全部が透明になってしまう病気「透明病」に悩む中学生の少女、しずか。
演劇部に所属し女優を目指す彼女にとって、その病気はハンディキャップとならざるを得ない。
しかしガキで阿呆だが真っ直ぐな性格の同級生の少年、マモルによって彼女は励まされていく。
初々しくて爽やかな二人の純情ラブストーリー。

ちょっと朴訥とした絵柄が物語に似合ってる。
そして読みきり連載だからか、一話一話、大ゴマを使って盛り上げるのが上手い。
お気に入りは第2巻、新入生歓迎の寸劇を行う羽目になった生徒会長に、しずかが演技のお手本を示すシーン。

20年、30年前ならこういうお話は女の子向けって言われただろうな。
男性向けマンガの少女マンガ化、なんて言葉が頭に浮かぶ。

投稿者 Dormeur : 11:57 PM | コメント (0) | トラックバック

février 27, 2006

2005年に読んだマンガ 2006.2.27

西島大介『凹村戦争』(ハヤカワ SF シリーズ J コレクション)

[ ISBN:4152085568: bk1 - jbook - amazon ]

「J コレクション」は SF 小説のシリーズだけど本作はマンガ作品。
第35回星雲賞アート部門受賞作、だそうな。

タイトルは「おうそんせんそう」と読む。
火星人が地球に攻めてくるというオーソン・ウエルズの有名なラジオドラマをモチーフにしたセカイ系青春劇だ。

舞台は外部から隔絶された寒村、凹村。
主人公は平坦な日常に嫌気が差している中学生の少年、凹沢。
登場人物たちにはすべて「凹」の字が含まれている。
ある日凹村に、X 字型の巨大な物体が墜落する。
遊星からの物体 X 、というわけだ。
それは火星人襲来の兆候。
凹沢はその物体に日常からの脱出を期待するのだが……。

SF 作品をパロディにしつつ、デフォルメが強くてポップで可愛い絵柄によって描かれる、テキトーであっけない世界の終末。
今時な世界認識の表明といった感じの物語。

いしいひさいち『ヒラリー・クイーン――大統領への道』(光文社文庫)

[ ISBN:4334736718: bk1 - jbook - amazon ]

ヒラリー・クリントン、クリントン元大統領、ブッシュジュニア大統領といったワシントンの人々をおちょくった4コママンガ。
手堅い面白さ。

滝本竜彦, 大岩ケンヂ『 NHK にようこそ!』(第1巻‐第3巻、角川コミックス・エース)

[ ISBN:4047136360: bk1 - jbook - amazon ]

[ ISBN:4047136816: bk1 - jbook - amazon ]

[ ISBN:4047137154: bk1 - jbook - amazon ]

滝本竜彦の小説のマンガ化。

ひきこもり歴4年という青年、佐藤達広。
彼の前に中原岬という謎の美少女が現れる。
彼女は佐藤がひきこもりから脱出するのをサポートするのだという。
彼女をあしらいつつ、ひきこもりから脱出しようと試みる佐藤だが、アパートの隣室に引越してきた高校の後輩とエロゲー作りを始めて挫折したり、自殺オフ会に巻き込まれたり、マルチ商法にひっかかったりと道化を演じてばかり。
果たして彼は社会復帰できるのか。
そして中原岬の正体は?
というお話。

進行がゆっくりなので、原作を読んじゃった。
マンガ版も悪くはないけど、原作の方がもっとおもしろおかしくて共感しまくり。
自殺オフ会やマルチ商法のエピソードは原作にない。
まあ、小説の単行本を2冊発表して後が続かない滝本竜彦が生活するのには、このスローペースはいいのかも。
大岩ケンヂの描く岬ちゃんの可愛さがマンガ版の魅力。

石田敦子『純粋!デート倶楽部 完全版』(上下巻、Beam comix )

[ ISBN:4757719086: bk1 - jbook - amazon ]

[ ISBN:4757719094: bk1 - jbook - amazon ]

デート倶楽部って言われると、ある世代から上はある種の抵抗感を覚える単語だ。
だからこそわざわざ「純粋」って付けてるんだけど。

主人公は女子大学生の掛井朱音。
男性向けマンガの主人公らしくリアリティのない子供っぽい女性。
彼氏に振られてしまった彼女は、大学の同級生から「デート倶楽部」に勧誘される。
その「デート倶楽部」とは、体に触れることは禁止、メンバーが依頼者の男性の望む仮想のデートを演じ、一緒に過ごすときめきを提供するというサービス業だった。
「デート倶楽部」での仕事を通じて、朱音や同僚たちそれぞれが抱えた恋愛模様が浮かび上がり、絡まっていく。
心に受けた傷とその回復を描いた物語。

いやーよかったよかった、と爽やかな読後感。
連載していた雑誌が休刊に次ぐ休刊で完結が危なかった作品だったらしいが、ここに見事完結、これまためでたい。

投稿者 Dormeur : 11:51 PM | コメント (0) | トラックバック

février 26, 2006

ミノルタ「 DiMAGE Xt 」とその後

フラッシュ内蔵、オートフォーカス、オートデート、フィルムのオートローディング、と数々の「世界初」なカメラを世に送り出してきたコニカだが、ミノルタと合併した挙句に2006年3月、写真事業から全面撤退する。
私にとってはコニカというと、写真機メーカーというよりも、「サクラカラー」「コニカカラー」の印象が強い。
野球場のフェンス広告や、プリントショップで手渡される写真の包装に描かれた文字の影響だろうか。
むしろ写真機というとミノルタだ。
テレビ CM で「バンッ…… MINOLTA 」と流れるのが、子供心にちょっと怖くて、ちょっと格好よく思えたものだ。

そんな感じでブランドイメージを刷り込まれて育った私が初めて買ったデジタルスチルカメラがミノルタの「 DiMAGE Xt 」
トイカメラや PDA 内蔵カメラじゃなくて、記録メディア交換型のカメラ専用機、という意味で初めてとなる。

MINOLTA DiMAGE Xt

「 DiMAGE Xt 」は2003年4月に発売された薄型コンパクト機で、320万画素1/2.7型 CCD で光学3倍ズームを備えている。
一見単焦点カメラに見えるが、屈曲光学系レンズユニットを採用することでズームを実現している。
おかげで電源を入れてもボディからレンズが「うにょーん」と飛び出してくることなく、スタイリッシュなデザインを保っている。
このデザインが非常にお気に入り。
タバコの箱より1cmくらい幅が広い程度のコンパクトでスクエアなボディ形状。
しかも軽いので、服のポケットにも収まりがいい。

買ったのは2003年11月。
兄が結婚するので、結婚式の模様を撮るにあたってまともなコンパクトカメラを一つ持っておこうってのが購入の動機。
予備バッテリー1個が付属して33,742円(税・送料込)だった。
今となっては中古価格で13,000円くらいになっている。
日進月歩のデジタルスチルカメラ市場だから大幅な値崩れは仕方ないとはいえ、ちょっと切ない。

コンセプトとしてはスナップ写真専用なカメラである。
撮影は殆どフルオート。
シャッター速度優先 AE や絞り優先 AE といった撮影モードがないのはまあいいとしても、風景モードとか人物モードとか夜景モードといったシーンモードは一切ない。
マクロモードへの切り替えというのもなくて、シームレスにマクロモードになる。
ホワイトバランスや ISO 感度の設定はできるが、基本的には電源を入れてシャッターボタンを押すだけの操作だ。
楽チンだけど味気ない。

また、今時のデジタルスチルカメラと比べると、本体の液晶モニタは1.5型と小さい。
ピントがずれてたり手ぶれしたりしてても少々分かりづらいのだ。
手ぶれしやすいコンパクトカメラには必須機能となりつつある手ぶれ補正機能がないのも不満点。

もうちょっと凝った撮影が出来るカメラが欲しいなと思ってたところへ、コニカミノルタが写真事業から撤退するというニュースである。
最後の記念にコニカミノルタ機を買うか。
そう思ったのをきっかけに、先月から現行モデルを調査し始めた。

「 DiMAGE Xt 」の後継となる系列の最終製品は「 DiMAGE X1 」
レンズが飛び出さない屈曲光学系ユニットを内蔵し800万画素1/1.8型 CCD を搭載。
シーンモードはあるし、スーパーマクロ機能はあるし、液晶モニタは2.5型。
手ぶれ補正機能もついている。
カタログスペックはなかなかよさそう。

しかし、店頭で現物を見てちょっと萎えた。
プラスチック然としてテカテカのボディが安っぽい。
そして指紋が目立って汚らしい。
なんで「 DiMAGE Xt 」みたいに金属っぽい仕上げにしてくれなかったんだろう。
丸みを帯びた形状は手になじみやすいものの、机の上に立てて置こうとすると倒れてしまう。
液晶モニタもサイズが大きくなったのはいいけれど、画素数11.8万で荒い。
ネット上でのレビューで「レンズが暗い」「感度が低くて頻繁にノイズリダクションが入る」という欠点が指摘されていることもあいまって、購入意欲が減退してしまった。

それでも投売りされたら買おうかなという気持ちはあって、ちょこちょこチェックしているのだけど、全然値下がりしない。
一昨日ヨドバシカメラの梅田店に見に行くと、ついに店頭から姿を消していた。
どうやら投売り祭りのないままフェードアウトということになりそうだ。

結局「 DiMAGE X1 」は買わずに別の機種を買ったのだが、その話はまた別の機会に。
ヒントは上記の写真のアスペクト比。

新しいのを買ったとはいえ、「 DiMAGE Xt 」は持ち運びしやすく気軽に撮影できる点でよいカメラ。
まだまだ活躍してくれるはずだ。

関連リンク

投稿者 Dormeur : 10:28 PM | コメント (0) | トラックバック

février 21, 2006

Oublier

記憶とは実に不思議なもので、3歩歩くと忘れる人もいれば80分しか記憶が持たない人もいて、その一方で百科事典のごとき記憶力を持つサヴァン症候群の人もいるのだとか。

近頃ただでさえ低い思考力の低下のみならず記憶力の低下も感じられるところで、流れ行く時を実感する今日この頃。

近頃忘れたものというと。

某映画の前売り券。
いつの間にか上映が終了していた。
哀れ1,500円が紙くずに。

恩師の退官記念最終講義。
案内の葉書に返事を出すのも忘れてた。
まあ直前に思い出してハイ仕事休みますというわけにもいかないけど。
月曜日じゃなかったら何とかなったかもしれない。
というか先月「四半期報になりました」なんて通知しておきながら、間際になってしれっと20日期限で毎月と同じ下らん報告の提出を求める東京の(サーバから自動的に削除されました)

それで思い出した、歯科医院の予約。
術後の経過を診てもらってその次の予約を取るってときに、次の土曜日は祝日で、その次の土曜日は先生が学会の出席で、って理由で予約を取れなかったのだ。
折角近場で土曜日も開いている歯科医院を探したというのに。
そこでどうせなら講義の日に休みをとって午前中に診察を受けにいって午後は講義というプランはどうかとも考えたが、次の診察のときには残ってる右上顎第三大臼歯も抜いてしまいましょうって話になってたので、やめにしたのだった。
そして忘却。

北海道ちほく高原鉄道ふるさと銀河線の廃線。
記念品でも買い求めようかと考えていたのだがそのまま忘却。
気づけば廃線まであと2ヶ月だ。
何で思い出したかと言うと、女子高生が列車にぶら下がったままの状態で列車が1km走行したとかいうニュースがあったから。
ありがとう名も知らぬ女子高生。

初心。
ああ、もう忘れまくりですな。
日々幻滅しかない。
明るい展望もない。
商売替えする気力もない。
なぜってそれは金がない。
魅力もなければ能もない。
ハァソリャソリャ(踊り)

あと何か忘れてたような気がするぞ。
と考えてて思い出した。
Internet 回線を光ファイバーに変えることは前々から決まっていたのだけど、ようやく来月に工事が行われるから、ISP 発行のメールアドレスが使えなくなるんだった。
レンタルサーバ業者への登録アドレスになってるから変更の連絡をしないと。
危ないところだった。
ちなみに常用のメールアドレスは変わりません。

まだ何か忘れている気がするなあ。
ここをご覧の私の知人の方、「これ忘れてないか」というものがあればご一報ください。
え、PDA にメモしまくれ?
それがその、TH-55は調子が悪くて充電がうまく出来ず、電池が切れるとメモリ内容が消えちゃうデバイスとしては致命的。
treo90 は遭難中。
OS の再インストールしたときにドライバインストールしてなかったし、ドライバのディスクも捜索しないといけない。
京ぽんを W-ZERO3 に買い換えようかとも考えたけど、色々とお金が必要になったので予算不足。
そんな現状でございます。

投稿者 Dormeur : 10:55 PM | コメント (2) | トラックバック

février 20, 2006

2005年に読んだマンガ 2006.2.20

Andy Riley『 The Book of Bunny Suicides 』( Plume )

[ ISBN:0452285186: bk1 - jbook - amazon ]

生きるのが嫌になったらしいウサギが、ひたすらいろんな方法で自殺を試みるという一コママンガ集。
現実的ではない様々な自殺方法が披露され笑える。
例えば表紙の絵は、トースターに潜んで死の時を待っているというもの。
ほとんどのものは絵だけなので、英語が分からなくても大丈夫。
こういうセンス好きだわ。

金田一蓮十郎『アストロベリー』(第1巻、ガンガンコミックス)

[ ISBN:475751011X: bk1 - jbook - amazon ]

宇宙人の青年、ベティは奴隷・ペット用のクローン人間を作って一攫千金を果たそうと、地球の女子中学生、まこの性格をコピーし二人のクローン人間を作った。
しかしその二人の性格は全く正反対。
原因を探ろうと、ベティはまこの家の隣に居を構え、クローン人間たちを使って調査に乗り出す。
そして地球人の常識をよく知らない上に元々奇人であるベティの行動に、まことクローン人間が翻弄される、というコメディ。

テンポよく勢いのあるギャグとツッコミが上手い。
続きを読みたいけど不定期連載だから、次の巻が出るのはいつになることやら……。

鈴木みそ『銭』(第1巻‐第2巻、Beam comix)

[ ISBN:4757715412: bk1 - jbook - amazon ]

[ ISBN:4757719477: bk1 - jbook - amazon ]

鈴木みそと言えば「ファミ通」でのエッセイ・ルポマンガで名高いが、本作は物語仕立ての作品。
事故で死んでしまい幽霊となった少年が、黄泉の国のオペレータと思しき女性とともにお金とは何かを探りに社会見学に出かける、という筋立て。
そこで様々な業界が如何にして金を稼いでいるかという裏事情が描かれていく。
第1巻では、マンガ雑誌、アニメ、コンビニエンス・ストア。
第2巻では、ゲームセンター、同人誌サークル。

第3巻が出てるな、買わねば……。

丸川トモヒロ『成恵の世界』(第1巻‐第5巻、角川コミックス・エース)

[ ISBN:4047133469: bk1 - jbook - amazon ]

[ ISBN:4047133655: bk1 - jbook - amazon ]

[ ISBN:4047134163: bk1 - jbook - amazon ]

[ ISBN:4047134775: bk1 - jbook - amazon ]

[ ISBN:404713516X: bk1 - jbook - amazon ]

SF 学園ラブコメディ。
冴えない中学生の少年、和人が雨の日にダンボール箱に入れられた子犬の前で悩んでいると、突然中学生の少女が現れ子犬を撲殺。
「これは危険な改造宇宙生物」と言って笑顔で去っていく。
これがきっかけでその少女、七瀬成恵に魅かれ始めた和人だったが、彼女の正体は地球人の母と宇宙人の父を持つダブル。
成恵と交際を始めることに成功した和人は、成恵のその素性ゆえに様々な騒動に巻き込まれていく。

何年か前にテレビアニメとして放送されてて、成恵の姉が宇宙船に乗ってやってくる回だけ観たのを覚えている。
原作を読むとその時に抱いた印象とギャップがあって意外だった。
最初の方は成恵がツンデレ気味なキャラクターだったのが、和人にゾッコン(死語)になってどんどんイチャイチャカップル化して、逆に和人が翻弄されてしまうのね。
甘くてリリカルでほのぼの風味、なお話。

ちなみにタイトルの元ネタは『非(ナル) A の世界』。
そしてサブキャラクターの少女、八木は SF 本に目がないという設定。
作者の SF 好きが伺える。

古本屋で安く出てたので買ってみたけどなかなか良い買い物だった。
現状は第8巻まで出てるようだ。
追々買い進めることにいたしましょう。

佐藤 順一、紗夢猫『魔法使い Tai!』(全3巻、角川コミックス・ドラゴン Jr. )

[ ISBN:4047121908: bk1 - jbook - amazon ]

[ ISBN:4047122009: bk1 - jbook - amazon ]

[ ISBN:4047122238: bk1 - jbook - amazon ]

これまた懐かしい代物。
10年近く前にビデオ売りのアニメとして発売された作品が原作のマンガ。
アニメ版は観たことないけどキャラクターは覚えてた。
魔法クラブというものが存在する学園で、魔法クラブの新米部員の少女が奮闘するというラブコメもの。
当時の萌え系作品に位置づけられるのだろうが、特筆すべきことはない。
絵柄が微妙に古臭い。
古本屋の100円均一コーナーに置いてなかったら、一生手に取ることがなかったかもしれない。

投稿者 Dormeur : 11:02 PM | コメント (0) | トラックバック

février 19, 2006

浪花グランドロマン『冬桜』を観た

ライブ分、という栄養素をご存知だろうか。
このライブ分はスポーツの競技場、劇場、コンサートホール、ライブハウスといった場所において摂取できる栄養素で、心身を健康に保つにあたって重要な役割を果たしている。
ライブ分が欠乏すると、倦怠感、行動意欲の低下といった症状が現れる。
amazon.co.jp のショッピングカートに次々と商品を突っ込んだり、「 ANA ユニフォームコレクション」のフィギュアを買い求めたりと奇矯な振る舞いを引き起こすこともあるという。

私もプロ野球シーズンが終了してずっとライブ分が欠乏しており、欠乏にともなう数々の症状の発現を自ら知覚するところであった。
このままでは社会生活を送るにあたって支障をきたすことになりかねないので、ライブ分の補給に向かったのである。

浪花グランドロマン『冬桜』。
お芝居である。

物語は太宰治をモデルにしたと思しき作家が主人公。
無名時代を脱し名声を得ても陰鬱に日々を暮らしている。
夢とも現ともつかず彷徨う彼の前に4人の女性が現れる。
ある者は彼の妻、ある者は彼の愛人、ある者は彼が書いた小説の人物。
画家に嫁いだ妻の物語の断片を独白しては、彼女たちは消えていく。
そして作家は空しくも、物語の外へ飛び出そうと試みる。

太宰治かー。
フジ三太郎には月見そばがよく似合うよね、うん。
中学生のとき国語の教師が「受験生の時『人間失格』を読んで死のうかと思った」って話をしたことから興味を持って『人間失格』を読んだなあ。
内容はもうすっかり記憶にないけど、ダメ男がマンガを描いて収入を得てたってのは覚えている。
あと青空文庫で幾つか拾い読みしたな。
『女生徒』も読んだっけか。
太宰治論で読んだのは坂口安吾の追悼文『不良少年とキリスト』くらい。
ウホッ、貧相な読書経験。

それはさておき、今回はほとんどが物語の朗読ってところが面白い試みだった。
画家とはそれすなわち太宰の自虐か。
4人の女性は1人の女性のアスペクトか。
一人語りは観る者にどうしても緊張と視点を強いるので、「……でこ」「……歯並び悪い」といった邪念が生まれバランスを取ろうとしていました。
すみません。

ともあれ、久々の観劇によりライブ分を摂取できた。
明日からまた元気に働きましょう。
ディスプレイの前のみんなも浪花グランドロマンでライブ分ゲットだぜ!
次回公演は多分9月だけど。
それに、ここ見てる人京阪神以外の人ばっかりだけど。

どう見ても2,000円分の宣伝にはなりません。
本当にありがとうございました。

投稿者 Dormeur : 11:09 PM | コメント (0) | トラックバック

DVD『公式長編記録映画 日本万国博』を観た

公式長編記録映画 日本万国博

泣けてきた。
何だよ、この2006年よりも、1970年の人々が思い描いて作り上げた「理想の未来」の空間の方がよっぽど魅力的じゃないか。

『公式長編記録映画 日本万国博』はその名の通り、1970年に開催された日本万国博覧会の模様を記録した映画で、1971年に公開された。
1971年度日本映画興行成績第1位だそうだが、その割に映画批評の俎上に上がらず黒歴史になっている気がする。
パッケージに「このディスクには、オリジナル素材に起因するお見苦しい部分、お聞き苦しい部分がありますことを、あらかじめご了承ください」とあり、これがまずかったのだろうか。
民族衣装に身を包んだエチオピア館の職員と記念撮影を繰り返す日本人客に、女性のナレーターいわく「これでは日本人がカメラ気違いと言われても仕方ありませんね」。
つんぼ、めくら、かたわといった言葉がテレビで堂々と流れてた時代だからなあ……。

DVD としてはモノラル音声だが、画質は最高レベル。
16:9 スクイーズとレターボックスの併用によるシネマスコープサイズ収録となっていて、片面2層ディスクにより高いビットレートを維持している。
フィルムの状態もマスタリングも素晴らしいのだろう、糸くずや筋状のノイズがほとんど見当たらない。
WinDVD 7 の TrimensionDNM を使うと効果絶大で、まるで VTR 映像を見るかのように滑らかでリアルな映像を見せてくれる。

まず映画はアフリカ人による打楽器の演奏シーンから始まり、世界中の人々のスチル写真が次々と映し出されたかと思うと、万博会場の建設の模様が手短に映し出される。
千里の丘は、少しばかりの棚田以外は青々とした林である。
会場が完成しても周囲はまだ開発が進行中の田園風景。
今じゃ後ろの山までカビのように住宅に侵されて見苦しい限りだが。
そして場面は開会式へ。
昭和天皇も今上天皇も若い。
後になって登場する皇太子・秋篠宮殿下に至ってはラブリー。
現在のお姿と対比するとため息が出る。

開会式が終わると、各国のパビリオンの模様や音楽・ダンスといった民族芸能が次々と映し出していく。
173分にもわたる映画作品なので、真ん中あたりにインターミッションも入る。
後半は万博運営の裏方さんたちの模様も織り交ぜつつ、再び各国の展示やパフォーマンスが映し出される。
日本館や各協賛企業のパビリオンの模様から場面はついに閉会式へ。

結末は寂しい。
人影のない万博会場をバックに、小学生の書いた詩が朗読される。
そこに記された能天気な希望に、未来人である私は苦笑せざるを得ない。
もう祭りは二度と来ないのだ。
あなた方がいる「そこ」が最高なのだ。
夢は消え去り、不安に満ちた「今」がやってくるだけなんだぜ。

USJ よりも、行ったことはないけれどディズニーランドよりも、私は1970年のこの万博会場に行きたい。
これこそ地上に現れた最後の楽園ではないかと思う。

不満点を挙げるとすれば、日本人の格好がダサいことだ。
これだけは日本人も進歩した。

投稿者 Dormeur : 10:04 PM | コメント (2) | トラックバック

février 18, 2006

『プルーフ・オブ・マイ・ライフ』を観た

『プルーフ・オブ・マイ・ライフ』( Proof )は2005年のアメリカ映画で、戯曲を映画化したものらしい。

かつて天才数学者と賞賛されたが精神を病んだ父親。
主人公の女性キャサリンは、大学を中退してシカゴで彼と二人暮しをしていた。
しかし父親が亡くなり、キャサリンも父の病を受け継いだかのように精神的不安定さを見せる。
葬儀のためニューヨークから帰ってきた姉は、ニューヨークで一緒に暮らそうと持ちかけるが、キャサリンは拒絶する。
そんなキャサリンも、父の弟子である若き数学者ハルの愛の告白を受けて彼に心を開き始めた。
しかし父親の部屋から、歴史的な大発見となる数学の証明が記されたノートが見つかり、事態が大きく動き出す。
――といった感じのお話。

父親が生きていた頃のキャサリンの記憶がフラッシュバックして、現在と頻繁に行き来する。
そこで新たな事実が提示され、観客におっと言わせるという構成。
見事に乗せられたなあ。

癇癪を起こしたときにキャサリンが捲くし立てる台詞も楽しい。
舞台劇のノリだ。
キャサリン役の人のみならず、みな演技が秀逸。

既に指摘されていることだけど、原題通りタイトルは『プルーフ』だけでいいと思う。
キャサリンの自分の人生の証明のみならず、数学の証明、心の証明といった複合的な意味が込められているのは明らかだし。

投稿者 Dormeur : 07:41 PM | コメント (0) | トラックバック

février 16, 2006

LANDISK 救出作戦

以前から読み書きの調子が悪かった I・O DATA の NAS 「 LANDISK HDL-160U 」が先日立ち上がらなくなってしまった。
中のデータのほとんどはバックアップのデータだけど、この中にしか入っていないデータも一部ある。
LANDISK が生きている間にバックアップを取っとくべきだった、と反省するが、反省するだけではデータを救出することはできない。
試せることはとりあえず試してみることにした。

LANDISK を分解

LANDISK の動作の仕組みは単純で、その正体はマイコンで HDD を駆動している Linux サーバだ。
内蔵 HDD に専用 Linux がインストールされていて、その上でサーバ用ソフトウェア( Samba かな )が動いている。

LANDISK の中身の HDD を換装する方法を紹介しているサイトを参考にして、LANDISK を分解。
一つだけやたらと固いネジがあり往生したが、なんとか分解に成功。
中の HDD は Samsung 製の IDE 接続型 3.5インチ HDD だった。

これをリムーバブル HDD ケースに取り付けて PC を立ち上げてみると、BIOS に名前が表示される。
基盤は生きているようだ。
HDD の中身は Linux で ファイルシステムも Linux 用のものであるため、Windows XP からは中のデータを覗けなかった。
しかしパーティション構成は分かった。

「これ do 台ヒーロー」でミラーリングに挑戦

LANDISK 用の Linux は公開されていないので、元々入っていた HDD から移さねばならない。
そこで「これ do 台ヒーロー(KD25/35FUL)」という製品と、換装用の HDD を買ってきた。
「これ do 台ヒーロー」は IDE 接続の HDD のデータをボタン一発でミラーリングできるというもの。
購入先は PC ONE's でお値段18,000円だった。
高い。
予定外の出費。
しかしまあ、これからバックアップ用途に使うことがあるだろうから、悪い買い物ではないと思う。

で、LANDISK の HDD と新しい HDD を繋いで「ぽちっとな」とした。
しかしすぐに「ピーッ、ピーッ、ピーッ」とエラー音が鳴る。
LANDISK の HDD の先頭でセクター・リード・エラーが起こるらしい。
あえなく失敗。

「 KNOPPIX 4.0 」でデータ吸出しに挑戦

「 KNOPPIX 」は CD-ROM もしくは DVD-ROM で起動し、HDD にインストールする必要がないという Linux。
こいつで データを吸い出してみる。
初めて KNOPPIX を使ったが、あっけなく起動して感動。
LANDISK のユーザ用データが収められているパーティションも自動認識された。
そのパーティションをマウントしてみると、中のディレクトリ構成が見える。
こりゃ行けるかな、と思ったがデータの入ったディレクトリにロックがかかっていて進めない。
シェルから root で突入を試すも、I/O error のため ls すらできない。
トホホ。

しかし KNOPPIX 、便利ですな。
Windows しか使えません、という人も手元に用意しておくといいと思う。
例えば、明日までにレポートや書類を作らないといけないのに Windows が立ち上がらないよ!なんて状況になってしまったとする。
そこで DVD-ROM ドライブが動けば、KNOPPIX を起動して文書書きや表計算が出来るし、Web 閲覧やメールの送受信も出来る。
HDD が壊れていなければ Windows の入っている HDD も読めるし、USB メモリも使える。
素晴らしい。
KNOPPIX をダウンロードしてディスクに焼き付けるのは手間だから、ディスクが付録として付いている KNOPPIX 入門書(2,000円強くらい)を買うのが楽。

「 Fedora Core 4 」でデータ吸出しに挑戦

録画用 PC にインストールしてあった Fedora Core 4 からデータを吸い出してみる。
起動時、LANDISK の OS 用パーティションに幾つかの読み込みエラーが生じている旨表示される。
LANDISK 自体が起動しない理由はやっぱりこれだ。

KNOPPIX の時と同様にマウントを試してみるが、同様にデータの入ったディレクトリに入れない。

どうしようもないのでLANDISK のユーザ用パーティションにチェックディスクをかけてみたら、チェック中にエラーが出て終了。
で、マウントもできなくなった。
Fedora Core 4 をシャットダウン中に現れた表示によれば、ユーザ用パーティションにも読み込みエラーが大量発生。
ああ、ご臨終……。

というわけで

LANDISK はただの置物となりました。

もう一台 LANDISK を買ってきて、その HDD をミラーリングすれば現有の LANDISK の HDD 以外の部分は生かせる。
だけどそこまでする金はないし、運用法も好みではないので諦めた。
次に NAS を買うとすれば、RAID 5 を構築できる Buffalo の「 TeraStation 」がいいなと思う。
高価なので今すぐ買えはしないけど。

投稿者 Dormeur : 12:24 AM | コメント (4) | トラックバック

février 15, 2006

2006年バレンタイン・チョコレート

「ほらっ、いい男になりなさい」

……。


先日日本橋にあるコトブキヤというフィギュア専門店にふと入って、ついカッとなって買い物をしたらレジの人がくれた。
店の前は何回も通ったけど、中に入ったのは初めて。
等身大「惣流・アスカ・ラングレー」フィギュアは怖かった……。
戸口に置いといたらNHKの集金人やセールスマンを追い返せそうなインパクト。
家族や友人も離れていくだろうけど。

そこから普段は通らない裏道を通って難波方面へ行くと、メイド喫茶が2軒あってびっくり。
日本橋筋に店が出来てるのには気づいてたけど、こっちにもあるとは。
流行なんですなあ。
片方は1階にあってガラス張りのため通りから中が見えた。
店構え・内装共にカフェレストラン風。
店頭に料理のサンプルが展示されてたりオープンカフェっぽい置物があったりで、「ウェイトレスが珍妙な格好をしているだけのまともな飲食店」といった感じ。
メイド服をまとったトルソーが入口にあるのは標識代わりか。
食事時だったせいか、なかなか繁盛しておりました。
私にはメイド属性はないので、店の前を通り過ぎるだけで終了。
そんな2月。

関連リンク

アキバblog : タマ姉からのバレンタインチョコ 「ほらっ、いい男になりなさいっ」 http://www.akibablog.net/archives/2006/02/post_320.html

投稿者 Dormeur : 10:20 PM | コメント (2) | トラックバック

février 13, 2006

2005年に読んだ本 2006.2.13

倉知淳『日曜の夜は出たくない』(創元推理文庫)

[ ISBN:4488421016: bk1 - jbook - amazon ]

黒い上着に身を包んだ神出鬼没、年齢不詳の青年「猫丸先輩」が、不思議な殺人事件の謎を鮮やかに解いてみせるという七つの短編を収めた本。
落語のご隠居みたいな語り口の猫丸先輩のキャラが立ちまくり。
本書の結末で明かされるメタフィクション的仕掛けにも唸らされてしまう。

倉知淳『猫丸先輩の推測』(講談社ノベルス)

[ ISBN:4061822721: bk1 - jbook - amazon ]

またも登場、猫丸先輩の謎解き6編。
今度は「日常生活の中のミステリー」という奴で、人は死なない。

唐沢なをきにカバーイラストと挿絵を描かせようと考えた人は天才やね。

文庫版が2005年9月に出てます。

田中啓文『蹴りたい田中』(ハヤカワ文庫)

[ ISBN:4150307628: bk1 - jbook - amazon ]

「蹴りたい背中」ではなくて「蹴りたい田中」。
このタイトルが暗示している通り、ひたすら下らない駄洒落をオチに持ってくる脱力系 SF 短編集。
ここまで徹底していれば許してしまえるかな。
爆笑というよりも終始苦笑という笑い。

佐藤忠男『映画の真実―スクリーンは何を映してきたか』(中公新書)

[ ISBN:4121016165: bk1 - jbook - amazon ]

冒頭、「映画で現実が分かるか」という問いに「映画とは現実と美化の間を揺れ動くものである」という答えを置く。
この考えのもと、古今東西の映画を引き合いに出して映画が映し出しているものを論じている。
映画の見方、楽しみ方を広げてくれる好著だ。

橘木俊詔『日本の経済格差―所得と資産から考える』(岩波新書)

[ ISBN:400430590X: bk1 - jbook - amazon ]

今(2006年)の国会で国民の経済格差の拡大の問題が取り沙汰されている。
小泉内閣の政策が経済格差を拡大させている、と攻撃されているわけだが、1998年に出版された本書で既に経済格差の拡大は指摘されていて、本書を元に考えるならば別に小泉内閣の政策を中止したところで物事は解決しないということになる。

本書で指摘されている経済格差の拡大というのは、所得、資産における不平等化である。
日本では年功序列の賃金制度による賃金格差があって、世代間に所得の不平等があるが、それが世帯構成の変化により拡大している。
資産の面では、バブル期に土地価格が大幅に上昇したせいで資産の流動性が弱くなっていて、相続税の安さもあいまって、土地を持つ者と持たぬ者との差が広がっている。
また、資産を多く持つ者は貯蓄や株やらで資産を増やしやすいが、資産を持たない者は生活に手一杯でなかなか資産を増やせないという格差がある。
格差を調整するための手段として租税負担と社会保障制度があるが、日本では税制の不平等度が高く所得再分配効果が低い。
逆に社会保障制度による所得再分配効果が高いという。

そうした分析から、本書ではロールズの格差原理を支持しつつ具体的に政策提言にまで踏み込んでいる。

本書出版後に実行されている政策はというと、世代間の所得の格差が解消されるほど年功序列の賃金制度が改まっていることもないし、税金は安いままだし、社会保障制度は「小さな政府」の名の下に弱体化されようとしている。
小泉内閣に責任を押し付けられるわけではないが、小泉内閣が不平等化を助長しているのは間違いない。
もちろん、大して税金を払ってないくせにすぐに国民負担増反対と煽動するマスコミとそれに踊らされる国民が馬鹿なのも間違いないが。

小谷野敦、斎藤貴男、栗原裕一郎『禁煙ファシズムと戦う』(ベスト新書)

[ ISBN:4584120994: bk1 - jbook - amazon ]

ルサンチマンと粘着質に溢れる小谷野敦大先生が中心になってタバコ排斥運動に異議を唱える書。
「タバコの煙は駄目で何故自動車の排気ガスは許されるんだ」という小谷野大先生の論理は論点をすり替えてないかと思わなくもないが、そんなにタバコが害のあるものなら何故非合法化しないのかという指摘は私も常々思っていたことなので同意。
(もちろん非合法化しない理由も推測できるけど。)
疾病を引き起こす危険のある輸入牛肉、アスベスト、食品添加物、農薬なんかは禁止になる癖に、タバコがそこらじゅうで簡単に手に入るのは筋が通らない話である。
最近、医療機関における禁煙指導を健康保険適用にしようなんて動きがあるが噴飯ものだ。

非喫煙者と自称する斉藤貴男はタバコ排斥運動を、個人の行動を国家が管理・統制しようとする動きとして捉えて危惧している。
この視点は重要。


フランス・ドルヌ、小林康夫『日本語の森を歩いて フランス語から見た日本語学』(講談社現代新書)

[ ISBN:4061498002: bk1 - jbook - amazon ]

キュリオリの発話理論をベースにフランス人の言語学者が日本語を読み解いている。
旦那さんが日本人(デリダやリオタールの翻訳やってる先生ですな)で、第一インフォーマントにして草稿のまとめ役、だそうな。
日本語の例文との対比としてフランス語の例文を挙げているので、よりよく理解するには大学の第二外国語程度のフランス語を知っている方がいいけども、知らなくても差し支えない。
言語というのは言語が話されるまさにその状況が中に組み込まれているものであり、発話者から構築されていく関係性の網である。
単純に単語の継ぎはぎ、組み合わせじゃないよ――ってのが発話理論。

たまには言語学もよろしいですな。
毎日だと「もうええやん、こんな細かいこと考えんでも」なんて気分になりがちだけど。

投稿者 Dormeur : 11:39 PM | コメント (0) | トラックバック

février 10, 2006

2005年に読んだ本 2006.2.10

谷川流『涼宮ハルヒの憂鬱』(角川スニーカー文庫)

[ ISBN:4044292019: bk1 - jbook - amazon ]

帯には「『このライトノベルがすごい!2005』ライトノベル・ランキング作品部門 第1位」とデカデカと書いてある。
通販で買ったので全然知らなかったのだが、本屋に行ったらずらーっと『涼宮ハルヒの○○』というタイトルの本が並んでいた。
売れてるシリーズなのね。
この『涼宮ハルヒの憂鬱』は第8回スニーカー大賞大賞受賞作で、著者のデビュー作でもあるという。

物語は手堅く、高校生の少年「キョン」の一人称で語られている。
高校の入学式の日、彼のすぐ後ろの席の少女が自己紹介の場でこう言い放った。
「ただの人間に興味はありません。この中に宇宙人、未来人、異世界人、超能力者がいたら、あたしのところに来なさい。以上」
彼女こそ涼宮ハルヒ。
折角美少女なのに変人である彼女に何故か目を付けられた主人公は、無理矢理彼女に付き合わされて文芸部を乗っ取り新しいクラブを創設することになる。
世界を大いに盛り上げるための涼宮ハルヒの団、略して「 SOS 団」。
その活動は宇宙人や未来人を探すこと。
その活動を通じてハルヒとキョンの周りに様々な少年少女たちが関わってくる。
しかしハルヒは全く気づいていなかった。
彼らは、主人公を除いて宇宙人や未来人や異世界人や超能力者だったのである。
非日常を求めながら自分が非日常の世界に居る事に気づかないハルヒと、彼女の知らないところで非日常に翻弄されるキョン、という構図で物語は進んでいく。

これもいわゆる「セカイ系」という奴に入るのかな。
日常への幻滅、倦怠というのはライトノベルの読者層の年代には共感できる心理で、それを物語の根幹に据えたこの作品はスイートスポットにすぱっとはまる。
それに加えて一気に読ませる力は看板に偽りなし。
売れるのももっともだ。
露骨にラブコメしてないのもよい。

ジャック・ケッチャム『隣の家の少女』(扶桑社ミステリー)

[ ISBN:459402534X: bk1 - jbook - amazon ]

ぐわぁぁぁぁぁぁ!
私、子供が虐待される話って読んでて辛いんですホントに。

この小説は語り手である主人公が、その少年時代を悔悟とともに振り返るという形式のお話。
少年時代の彼の隣家に、両親を交通事故で亡くした少女メグが引き取られてくる。
主人公はメグに心魅かれるのだが、メグはその家の女主人に虐待され、虐待はどんどんエスカレートしていく。
主人公は傍観者の立場を脱することができないまま、事態は惨事へと向かう。

悪趣味だなあ。
救いが全くないわけではないけど、気分が滅入る。
しかしきっついのにどんどん読み進めてしまう魔力がある。

それにしてもこの表紙、怖いよう……(シルエット恐怖症)。

カレル・チャペック『山椒魚戦争』(岩波文庫)

[ ISBN:4003277414: bk1 - jbook - amazon ]

1935年に書かれた SF 小説の古典。

赤道直下のある島で、不思議な海生の山椒魚が発見される。
彼らは人間に従順で知能が高く、教育すれば道具を使いこなしたり、言葉を話すこともできることがわかった。
人類は山椒魚を盛んに繁殖させ、優れた労働力として活用し始める。
それがどんな悲惨な結果を招くかも知らずに……。

核開発競争と「核の冬」の恐怖を予見したかのような傑作。

秋山瑞人『イリヤの空、UFO の夏』(全4巻、電撃文庫)

[ ISBN:4840219443: bk1 - jbook - amazon ]

[ ISBN:4840219737: bk1 - jbook - amazon ]

[ ISBN:4840221731: bk1 - jbook - amazon ]

[ ISBN:4840224315: bk1 - jbook - amazon ]

宣伝によれば、各巻12万部以上売れたというライトノベル。
2005年にビデオ販売のアニメーション作品にもなった。

現代日本と似ているがちょっと違う世界を舞台に物語は進行する。
自衛隊ではなく「自衛軍」と米軍の基地がある地方都市、園原市。
そこに住む中学生の少年、浅羽直之が主人公である。
彼は並外れた知力・行動力を持つが変人という新聞部部長の水前寺に付き合わされて、夏休みの間ずっと UFO を探すために市内の山中に篭っていた。
夏休みの最後の夜、山から家に帰る途中に浅羽は、浪費した夏休みを埋め合わせるために学校のプールに忍び込む。
するとそこには「イリヤ」と名乗る不思議な少女が居た。
泳げない彼女に浅羽は水泳を教えるが、程なく政府関係者か軍関係者と思われる男が現れ彼女を連れ帰ってしまう。

その翌日、彼女「伊里野加奈」は浅羽のクラスに転校生として現れる。
しかし伊里野は無口で表情に乏しく、同級生と交わろうとせず、浅羽としか関わろうとしない。
普段はリストバンドで隠しているが彼女の両手首には金属の玉が埋め込まれている。
突然鼻血を出して倒れるし、大量の薬物を持ち歩いているし、公衆電話でどこかへ頻繁に連絡を取っている。
学校を欠席したり、校内放送で呼び出されて早退したりすることも多い。
訓練のための抜き打ちの空襲警報に異常に反応し、機敏な動きを見せもする。
『新世紀エヴェンゲリオン』の綾波レイみたいな「新兵器のパイロット」という設定を匂わせつつ、浅羽と伊里野、そして彼らを取り巻く面々の物語が綴られていく。
徐々に浅羽や新聞部員と打ち解けていく伊里野だったが、その時間は長くは続かない運命だった……。

キャラクターやストーリーだけ見るといかにもライトノベルという感じ。
しかしそのキャラクターの動かし方が上手い。
電撃文庫というライトノベルのレーベルだから正直言って侮っていたのだけど、見かけとは裏腹に文章力が高くて驚いた。
1巻につき1話というわけではないが、1話完結的なエピソードを重ねることで全体的に物語が進む構成になっている。
この物語構成も巧みですっかり引き込まれてしまい、1巻を読み終わるとすぐに次の巻を買いに走った。

ちなみにここから先はネタバレ。
物語が佳境に入って浅羽は、伊里野と共に過ごすか、あるいは伊里野を犠牲にして世界を救うか、というジレンマに陥ることになる。
「セカイ系」ですな。
結末は切ない。

少し不満なのは、読んでて頭の中に思い浮かぶ登場人物の姿と、カバーイラストや口絵に描かれている登場人物の姿が一致しないこと。
私の想像力と趣味の問題なのかもしれないけど、どうしてもこのギャップを埋められない。
アニメ版も web サイトを見たところイメージが合わなくて、躊躇しているうちにオンライン配信が終わってしまった。

投稿者 Dormeur : 11:59 PM | コメント (2) | トラックバック

février 09, 2006

2005年に読んだ本 2006.2.9

窪田 般弥、滝田 文彦編『フランス幻想小説傑作集』(白水 U ブックス)

[ ISBN:4560070717: bk1 - jbook - amazon ]

フランス幻想文学のアンソロジー。
収録されているのは、サド、バルザック、ゴーチエ、ボレル、ネルヴァル、ヴィリエ=ド=リラダン、モーパッサン、ロラン、シュペルヴィエル、ロブ=グリエ、クランなどの短編小説。
作家の数の豊富さとともに翻訳者の数も豊富。
クランの「怪物」に至っては SF で、意表を突かれた。

J. K. ユイスマンス『彼方』(創元推理文庫)

[ ISBN:448852401X: bk1 - jbook - amazon ]

『さかしま』で薀蓄たっぷりに人工楽園を描いたユイスマンス。
本書では、ジル・ド・レの一代記を執筆する作家を主人公に据えて、オカルト、悪魔崇拝の世界を展開している。
「産業と科学の世紀」への反発を主人公に語らせるあたり、さすがユイスマンス。

藤野千夜『ルート225』(新潮文庫)

[ ISBN:4101164312: bk1 - jbook - amazon ]

志村貴子がカバーイラストを描いているのに気づいて「ジャケ買い」してしまった本。

中学二年生の少女、エリ子の視点で物語は語られる。
彼女は母親の言いつけで、帰りの遅い中学一年生の弟、ダイゴを迎えに家を出る。
落ち合った二人だが、二人をとりまく世界は微妙に変わってしまっていた。
町並みが変わっていて家に帰れない。
ようやく帰ると家には両親がいない。
死んだはずの同級生が生きている。
ジャイアンツの高橋由伸が少し太っている。
疎遠になったはずの同級生が親しく話しかけてくる……。
二人はどうやら平行世界に迷い込んでしまったらしい。
果たして二人は元の世界に戻れるのか。

オチを期待すると肩透かしを食らう。
第1章が「ルート196」、第8章が「ルート225」と銘打たれているところからして、少女が14歳から15歳へと移ろい行く部分を描いたお話なのか。
性別の問題からか、その辺の心の機微というのはよく判らなくて、私はエリ子よりもダイゴに共感してしまうが、姉が弟に抱く感情というのはこんなものかなと納得するところもある。

倉田英之、スタジオオルフェ『 R.O.D―READ OR DIE YOMIKO READMAN“THE PAPER”』(集英社スーパーダッシュ文庫)

[ ISBN:4086300028: bk1 - jbook - amazon ]

『かみちゅ!』の脚本家、倉田英之のライトノベル。
出版と近い時期にアニメ化されたりマンガ化されたりしてるようだけど、メディアミックス作品なのかな。

本作の主人公は大英図書館の工作員で、紙を自在に変化させ武器とする特殊能力を持った女性、読子・リードマン。
コードネームは「ザ・ペーパー」。
美人なのにお洒落には無頓着で、野暮ったいメガネをかけている。
重度のビブリオマニアで、工作員とは思えない天然ボケな性格、という設定。
そんな彼女が世界史の臨時教師として、日本の高校に赴任してくる。
その高校には、高校生にして売れっ子ジュブナイル小説作家の菫川ねねねがいた。
ねねねの才能に目をつけた謎の人物によって何通もの異常な手紙を送りつけられ、ねねねは不安な毎日を過ごしている。
ある日、その人物の命を受け、怪人がねねねを襲う。
ねねねの大ファンである読子はその能力を使い、怪人と一大バトルを演じる、というアクションもの。

紙を武器にする、という発想は面白い。
本を愛するあまりの読子の奇行は、本好きな人なら共感できるのではないだろうか。

読子が「ザ・ペーパー」になるにあたっては辛い出来事があったようなのだが、それはほのめかしに留まり、本作は「つづく」の一語で終わってしまう。
一話完結じゃなくて最初から連続ものを意図してるんだったら、タイトルに「1」って入れてくれればいいのに。

文章はテンポを重視してか読みやすいのだけど、他の小説を読んでから読み返すと「描写がスカスカだなあ」という感が否めない。

でもまあキャラクターは魅力的なので、そのうち続きを読もうと思っている。
もう半年以上経っちゃったけど。

投稿者 Dormeur : 12:38 AM | コメント (0) | トラックバック

février 08, 2006

2005年に読んだ本 2006.2.8

実際に読んだのは初夏あたりの時期。

カール・ブルノー・レイダー『図説 死刑物語―起源と歴史と犠牲者』(原書房)

[ ISBN:4562020768: bk1 - jbook - amazon ]

死刑の起源と執行方法の歴史的変遷を記した本。
原著は1980年の出版で、本書は1989年に出た日本語訳。
翻訳者の手により図版が増補されている。

死刑に賛成か反対かという意見は保留して記述は進む。
終盤になってから、死刑に反対であるという著者の立場が明らかにされる。
著者によれば死刑制度の起源は人間の深層心理にある。
歴史的事実から見て、死刑には犯罪抑止力はないという。
そして理性的なものでない死刑制度は法によって正当化されるものではないと断ずる。

私自身は、人間というものは理性で全て合理的に対処できるほど高等な生物ではないと考えていて、感情の捌け口として、財政縮減の手段として死刑制度を必要悪だと思っている。
ただし、それは刑罰が原則死刑であるという限りにおいてのことで、それが出来ないというのであれば、死刑制度は即刻廃止して犯罪者の社会復帰の受け皿を徹底的に整備すべきだとも考える。

まあ、死刑制度に対する意見はともかくとして名著です。

ジェレミー・ヴィンヤード『傑作から学ぶ映画技法完全レファレンス』(フィルムアート社)

[ ISBN:4845902303: bk1 - jbook - amazon ]

映像面での映画技法のハンドブック。
辞書的に1ページに1技法という感じに記されていて、手書きイラストによる作例が付く。そしてページの末尾に「この映画のここで使われている」と小さく言葉で実例を示している。

今泉容子『映画の文法―日本映画のショット分析』(彩流社)

[ ISBN:4882028700: bk1 - jbook - amazon ]

これも映画技法のハンドブック的構成で、言及されるのは撮影技法限定だ。
戦前・戦後すぐあたりの日本のクラシック映画のスチル写真を挙げて解説を加えているのが特徴。
おかげで非常に理解しやすい。
映画入門書としていい本だと思うけど、いかんせん値段が高い。

催馬楽吉之丞『元店長が暴露するアキバ PC ショップの秘密』(毎日コミュニケーションズ)

[ ISBN:4839913781: bk1 - jbook - amazon ]

秋葉原で PC パーツ屋の店長をしていた著者が、裏話や経験談を明かすという内容。
聞きかじりのフランス語を思い出してフランス人客の接客に当たったというエピソードが印象的だった。
日本語話せるのにフランス語で話しかけてくるなんて、フランス人らしい話だ(偏見)。
最後の1/3は秋葉原の情勢についての批評や店舗紹介記事だが、本書の出版は2004年1月だから変化の激しい秋葉原の町の現状とは合わない部分もあるだろう。

本書の欠点は表紙の下手な萌えイラストだ。
店頭で手に取るのは辛い。

hacksection『ソーシャル娘。萌絵ちゃんのスパイ大作戦』(データハウス)

[ ISBN:4887187971: bk1 - jbook - amazon ]

ソーシャルハッキングの解説書。
前半の記述は物語仕立てになっている。
高校一年生にして凄腕ハッカーの少女、萌絵には大学生でネットゲーム廃人の兄がいる。
兄が同じゼミに居る女子学生に魅かれていることを知り、大好きな兄のために一肌脱ごうと、萌絵は兄にソーシャルハッキングの技術を教えていく……という内容。
後半は質問に対して萌絵が回答するという形式になっている。
本書で取り上げられている技術は尾行、トラッシング(ゴミ漁り)、盗聴、ピッキング、キーロガー、携帯電話のジャミング、Internet 上でのなりすまし、パスワードのクラッキングなど。

MMO の RMT で金を稼ぎ、読書に励み、七ヶ国語を身に付け、さらに肉体改造も行っている、と萌え妹キャラなイラストに反して設定が荒唐無稽で笑える。
しかし解説されている事柄はしっかりしたもの。
防御法の会得には攻撃法を知ることからって奴で、自己防衛のために知っておきたい。

プレスプラン編集部『タバコを吸わせろ!―喫煙者の喫煙者による、喫煙者のためのバイブル』(プレスプラン)

[ ISBN:4921132941: bk1 - jbook - amazon ]

喫煙に対する昨今の情勢といったら、反対意見は一切許さないファシズム的で非常に気持ち悪いものだ。
そんな中で喫煙を擁護する言説を展開している本がこれ。
露悪的で堅苦しくない、軽い読み物である。
カバーを裏返すと「タバコをやめよう」という題の本に偽装できるおまけつき。

伊集院光、岸川真『球漫―野球漫画シャベリたおし!』

[ ISBN:4408612332: bk1 - jbook - amazon ]

前半は伊集院光が自らの野球マンガ読者歴を披瀝しつつ、編集者岸川真と野球マンガについて熱く語り合う。
後半は野球マンガの名作を生み出した三人のマンガ家への伊集院光によるインタビューで、登場するのは『アストロ球団』の中島徳博、『ドカベン』『野球狂の詩』『あぶさん』の水島新司、『ストッパー毒島』のハロルド作石。
マンガ好きで野球好きの私にはヒットです。

みうらじゅん、伊集院光『 D.T. 』(メディアファクトリー)

[ ISBN:4840106193: bk1 - jbook - amazon ]

みうらじゅんと伊集院光による、飲み屋のアホ話風の対談。
羞恥とともに隠蔽されがちな童貞的精神、または童貞的精神を保ったままでいる大人を「 D.T. 」と呼び、敢えて称揚してみよう――というのが本書のコンセプト。
サブカルチャーを軽妙に語らせれば一級品、の伊集院光とみうらじゅんが揃えばつまらないはずがない。
掬い上げられる数々のエピソードや知見は行動文化論的示唆に溢れていて、面白おかしくもあり興味深くもある。
ただ、10代で今まさに脱童貞への闘争に浸っている少年には、童貞というのはアイデンティティに関わる深刻な問題すぎて笑い飛ばせないかも。
既に20代、30代にあってもはや童貞でない読者が、過去の自分の行動と照らし合わせて笑いながら共感する――というのが一般的な読まれ方だろう。

投稿者 Dormeur : 12:31 AM | コメント (0) | トラックバック

février 06, 2006

新しい CPU クーラーと HDD リムーバブルケースを取り付ける

私の 2nd デスクトップ PC は 星野金属のキューブ型ベアボーン 「 PANDORA1000 」( Athlon モデル )をベースにしたシステムだ。
基本的には TV 番組の録画(保存)用に使っている。
録画となると HDD の容量を沢山食う。
ちょこちょこ MPEG2 から Xvid 形式に変換するのだが、そんなにエンコードが速くないのと作業自体をサボりがちなもので、HDD の容量は割り当てた 180GB では足りなくなる。

そこで手軽に HDD の容量を拡張するため、IDE 接続の HDD を USB で接続できるようにするキット「 DN-IDE3525 」を使っていた。
これは便利な商品である。
PC 本体に繋いでいるとどうも不安定な要因になっていた旧マシンの HDD もちょっとした書き込み用のドライブとして蘇った。
ついでに、電源の入った HDD がいかに強烈な熱を帯びているかということを実感できる。
何せ HDD が剥き出しだ。
そのため、飲み物なんかをこぼしたり、体の一部が当たって衝撃を与えたりしてしまうかもという不安がつきまとうのが欠点なのだが。

その不安を解決するべく、いつか5インチベイに内臓する HDD リムーバブルケースを設置しようと計画していた。
懸念していたのが価格のことで、確か7,000円くらいしたよなーと思い込んでいて導入に踏み切れなかったのだが、ふと調べてみると意外と安い。
プラスチックベースのものなら、ベイに固定するラックと HDD を収めるケースのセットで2,700円といったところ。
冷却面での不安はあるが、剥き出しにしておくよりは事故の危険もない。
購入に向けて動き出すことにする。

CPU クーラーを交換したい

ところで冒頭で「録画用」、と述べた。
となると、基本的に常時通電である。
WindowsXP の「休止状態」はうまく動作しないので「スタンバイ」を使っているが、こいつは HDD の電源が落ちる程度で CPU ファンやケースファンは動いている。
ところがこのベアボーンは結構うるさい。
一番の原因は付属の CPU クーラーだ。
キューブ型対応ということでコンパクト。
仕組みとしては背の低いサイド吹き付け型 CPU クーラーだが、大きさは上面から風を吹きつけるオーソドックスな CPU クーラーのヒートシンクと同じくらい。
そのため 搭載するファンは 6cm角で3,800 RPM のためうるさい上に、冷却能力も芳しくない。
ファンの回転数を半分以下にすれば静かにはなるが、CPU の温度は負荷がかかると60度あたりに達してしまう。
むやみに回転数を落とすわけにはいかない。
この CPU クーラーを交換することを考える。

問題は4つある。

1つ目は、マザーボードがどのようにケースに固定されているのかよくわからないこと。
したがってマザーボードの裏面にバックプレートが必要になるタイプの CPU クーラーは選択肢から外れる。

2つ目は、専用 CPU クーラー取り付け用のリテンションがあり、このリテンションの取り外し方がよくわからないこと。
したがってリテンションにヒートシンクが干渉してしまうタイプの CPU クーラーは選択肢から外れる。
リテンションで穴が塞がっているため、ねじ止め式も選択肢から外れる。
固定方法はソケットへのクリップ止め式でなければならない。

3つ目は、キューブ PC であるゆえに、リテンションのさらに外側の空間にも余裕がないこと。
ドライブ方向から見てリテンションの右には電源ユニットが隣接し、背面側にはケースファンが隣接している。
リテンションの左側にはマザーボードへの ATX 電源供給用のソケットがある。

4つ目は、Socket A ( Socket 462 )に対応した CPU クーラーであること。
当然と言えば当然だが、対応していなければ設置できない。
だが Socket A の CPU が市場から姿を消しつつある現在では、対応商品もまた同様であり、数が少なくなっている。

この厳しい条件をクリアできて、静かで冷却能力が向上するような CPU クーラーがあるのだろうか?

存在した。

ThermalRock の「 Silent Torch 」だ。

「 Silent Torch 」を取り付ける

「 Silent Torch 」はサイド吹きつけ式のタワー型 CPU クーラーで、CPU と同じ大きさの銅製ヒートスプレッダから左右に3本ずつヒートパイプが生えた形をしている。
アルミニウム製のヒートシンクは一段高い場所にあるので、リテンションには干渉しない。
Socket A の場合の固定方法はソケットへのクリップ止め式。
2,500 RPM で8cmサイズ(羽根は9cmサイズ)のファンがあり、騒音は公称19dBA。
発熱の大きいデュアルコア CPU 対応を謳うくらいだから、それなりに冷却能力はあるだろう。
電源ユニットやケースファンへの干渉については、付けてみないとわからなかったが、結果から言うと干渉することなく設置できた。
ギリギリの大きさだった。

販売店をネット上で調べたが流通量は少ないようで、在庫があるのを掲げているのはごく僅か。
FAITH のインターネット通販では「納期 A 」となっていたので、ひょっとしたら日本橋店でも店頭在庫があるかもしれないと思い訪ねてみると、予想的中。
最後の1つだったが無事購入できた。
税込3,970円。

取り付け作業は思っていたよりも大変。
作業スペースを確保する必要があり、電源ユニット、ケースファン、ケーブルの類、AGP スロットならびに PCI スロットのカードは全て一旦取り外さなければならなかった。
クリップを締め付けるにもかなり力が必要である。
30分くらいで何とかなるかという見込みは見事に外れ、作業には2時間近くを要した。

しかし冷却性能は満足できる。
気温15度、CPU は AthlonXP 3000+(FSB400MHz 定格)という状態で、ファンの回転数を2,000 RPM ほどに落としてもアイドル時30度、高負荷時35度前後に留まる(温度は Speedfan の表示による)。
以前は気温が20度を越えていた状態でアイドル時40度前後、高負荷時60度ほどだったから、少なくとも5度前後のアドバンテージはあるだろう。

ファンの騒音はデフォルトだと 1m ほど離れても音を感じる程度はあるから、静かさを求めるならファンの回転数を落としてやる必要がある。
冷却と騒音のバランスを考えると、1,900から2,000 RPM くらいがちょうどよさそう。

「 IDE-MDK1 」を取り付ける

CPU ファンを交換した次に、 HDD リムーバブルケースを取り付ける。
ラトックシステムの「 IDE-MDK1 」である。

しかしここで問題が発生した。
「 PANDORA 1000 」は5インチベイが2段あるが、下段に「 IDE-MDK1 」を設置しようとすると「 Silent Torch 」に当たってしまうのだ。
ならば「 IDE-MDK1 」を上段に、DVD±R ドライブを下段に設置するのはどうか?
やはり下段の DVD±R ドライブが「 Silent Torch 」に当たってしまう。
DVD±R ドライブと「 IDE-MDK1 」の奥行きは大体同じくらいなのだ。
困ったものである。

ちょっと考えて、ここは HDD を優先して DVD±R ドライブを撤去し、「 IDE-MDK1 」を上段の5インチベイに設置することにした。
DVD±R ドライブが使えなくなるがいいのか?
心配無用。
前述の「 DN-IDE3525 」がある!
こいつで DVD±R ドライブを USB 接続して外付けドライブとして使えばいいのだ。

だが、残る問題が一つある。
「 IDE-MDK1 」には小さな冷却ファンが付属しているのだが、これがうるさいのだ。
「ああうるさいイライライラ……」というよりは、CPU クーラーを交換して静かになった分、音が際立つという感じである。
小さな冷却ファンとはいえ、一応空気の流れを作ることができているらしく、役立たずではないようだ。
この騒音を簡単に回避する方法は、必要な時以外は「 IDE-MDK1 」の電源を切ってシステムを起動することだ。
次に考えられるのは、「 IDE-MDK1 」付属のファンを停止させ、ドリルを使って HDD ケースの底面を穴だらけにすること。
そして使用不能になっている下段のベイに適当な低回転のファンを取り付けて下から空気を吹き付けてやれば、何もしないよりは多少の冷却になってマシだと思う。
ケースファンを交換する時に手を加えてみたい。

投稿者 Dormeur : 10:57 PM | コメント (0) | トラックバック