
私が絶賛してやまないアドベンチャーゲーム『 Ever17 - the out of infinity - 』。
その次回作、『 Remember11 - the age of infinity - 』は買ってからずっと棚に積みっぱなしにしていたのだが、休暇を活用してこのほどようやくプレイした。
結論から先に言うと、この作品はキング・オブ・メタフィクションである。
そのシナリオ構成は恐ろしく精巧に設計されており、舌を巻かざるを得ない。
しかし技巧に走りすぎた分、難解になってしまっていて、多くの人に勧めるのは難しい。
物語
『 Infinity 』シリーズ第1作『 Never7 -the end of infinity- 』では、作中で女性キャラクターと恋愛関係になって結末を迎えることがプレイヤーへの課題であった。
第2作『 Ever17 -the out of infinity- 』ではサバイバルと謎解きがプレイヤーへの主な課題となり、恋愛はそのための手段に過ぎなくなった。
第3作である『 Remember11 - the age of infinity - 』(以下、『 Remember11 』)では、ついに恋愛が課題ではなくなり、プレイヤーへの課題はサバイバルと謎解きに絞られている。
『 Remember11 』の物語はまず「冬川こころ」という女性の視点で語られ、その視点でのグッドエンディングを迎えると、「優希堂悟」という男性の視点で物語が語られる。
2011年1月11日、北海道の孤島にある特別精神医療施設「 SPHIA 」に軟禁されている連続殺人犯、犬伏景子と面会するため、冬川こころは北海道へ向かう飛行機に搭乗する。
その機内で冬川こころは楠田ゆにという11歳の少年と知り合う。
彼女たちを乗せた飛行機は青森県の朱倉岳に墜落してしまうが、冬川こころが意識を取り戻したとき、彼女はなぜか目的地である「 SPHIA 」にいた。
しかも彼女の肉体は優希堂悟と呼ばれる人物になっていた。
一方、墜落事故に遭った冬川こころの肉体は、生存者によって現場付近の避難小屋に運ばれており、優希堂悟の人格が入っていた。
「 SPHIA 」にいるのは、優希堂悟の肉体のほか、涼陰穂鳥と名乗る犬伏景子、内海カーリー、楠田ゆにの4人。
避難小屋にいるのは、冬川こころの肉体のほか、黄泉木聖司、黛鈴、楠田ゆにの4人。
「 SPHIA 」の優希堂悟の肉体は何者かに命を狙われているらしい。
また、避難小屋の冬川こころの肉体も、救助隊が来るまでの間、真冬の雪山で命の危険に晒されている。
冬川こころと優希堂悟の人格は前触れなく頻繁に入れ替わり、彼らを翻弄する。
彼らは生き延びねばならない。
特に冬川こころの置かれた状況は厳しい。
避難小屋には、避難していた事故の生存者たちが2011年1月17日に発生した雪崩によって、楠田ゆに以外全員死亡したことを告げる新聞が置かれていたのだ。
なぜ未来の出来事を記した新聞があるのか。
なぜ楠田ゆにだけは「 SPHIA 」と避難小屋の両方にいるのか。
なぜ人格の入れ替わりが起こるのか。
物語を進めつつ、プレイヤーはそれらの謎に迫っていくことになる。
メタフィクション
生き延びるために、冬川こころと優希堂悟は奮闘する。
ゲーム中、数多くの選択肢が現れるが、選択を間違えると死へと繋がる選択肢があちこちに仕掛けられている。
エンディングの数は33個もあるが、そのうち冬川こころと優希堂悟が生き残るエンディングは2個だけで、残りは全てバッドエンディングである。
バッドエンディングを迎えたプレイヤーは、グッドエンディング目指して何度も何度も物語をやり直すことだろう。
そう、冬川こころと優希堂悟が生き延びるために実際に奮闘しているのはプレイヤーにほかならない。
そしてグッドエンディングにおいてプレイヤーは、やっとハッピーエンドを迎えたと思うのも束の間、衝撃的な謎かけを浴びせられることになる。
謎を残したまま、グッドエンディングは終わる。
謎が解明される真のエンディングはないのだろうか。
解答を求めるプレイヤーは必死に物語をやり直すことだろう。
その中でプレイヤーは真相のヒントを得ていくが、決定的な解答は提示されない。
プレイヤーは無限ループに巻き込まれる。
神の視点にあるプレイヤーの特権的立場を崩壊させ、無限ループに閉じ込めること、これこそが『 Remember11 』の作り手と、作中のある登場人物の狙いなのだ。
私がキング・オブ・メタフィクションと呼ぶ所以である。
評価
推理小説に喩えるなら、『 Remember11 』は名探偵が密室殺人の犯人を言い当てるだけで、犯行トリックや犯行動機を説明し尽くさないまま終わっているような状態だ。
真相の解明はプレイヤーに委ねられている。
これではフラストレーションが溜まる一方。
前作の『 Ever17 』は、作中で張り巡らされた伏線が一気に収束し謎が解き明かされ、ハッピーエンドに至ることから、衝撃と感動をプレイヤーにもたらした。
その次回作として期待されたこの作品が、謎の解答を提示しないまま未完であるのだから非難されるのも無理はない。
「解答編を付属させた完全版を発売して、もう一度金を稼ごうとするメーカーの策略である」と言う人もいるくらいだ。
しかし未完であることそれ自体が『 Remember11 』の物語のトリックであり、物語がハッピーエンドに至るための必然的な道なのである。
アドベンチャーゲームとしては恐ろしく高等なシナリオであり、驚嘆せざるを得ない。
ただ、一般にゲームソフトには娯楽や爽快感が求められているわけで、それらが満たされず難解な『 Remember11 』は少数の人にしか評価されないだろう。
明確な解答が提示されていない謎解きにこそ価値がある、と思う人には『 Remember11 』はお勧めだ。
今では『 Ever17 』と並んで「 SuperLight2000 」シリーズに収められ、2,000円で購入することができる。
……と偉そうなことを書いていますが、私は下記のサイトの助けがなければ真相(と思われるもの)には到達できませんでした。
御礼申し上げます。
Remember11 -the age of infinity- 攻略
http://sukehi.hp.infoseek.co.jp/oreally/reference/remember11/
朝日が昇り そしてまた落ちる Remember11 -the age of infinity- 微ファンサイト
http://f9.aaa.livedoor.jp/~glassun/index.html
補足、蛇足
シナリオのみならず、グラフィック、音楽、操作性も優秀だ。
グラフィックはどちらかというと、女性向けマンガ風の絵柄。
楠田ゆに萌え。
衆道に落ちそうで危険。
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