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août 28, 2005

ワイヤレスサラウンドヘッドホン『SE-DIR2000C』

まず『 MDR-DS3000 』ありき

昨年の8月末ごろから、SONY のワイヤレスサラウンドヘッドホン、『 MDR-DS3000 』を愛用してきた。

SONY MDR-DS3000 デジタルサラウンドヘッドホンシステム

平日、家に帰宅し食事をして、一息つける頃には21時とか22時とかになっている。
その時間にスピーカーから豊かな音量を出すと家人に筒抜け。
大阪市内の住宅密集地だから、隣家にも音が漏れて迷惑だろう。
百歩譲ってアコースティックサウンドはいいとしても、電波ソングやゲームのキャラクターのアニメ声をご近所に聞かれるというのは精神的苦痛を覚える。
かといって音量を絞ると味気ないわけで、ヘッドホンは有難いアイテムだ。

PC のサウンドカード、『 Sound Blaster Audigy2 ZS Digital Audio 』から光デジタル出力で『 MDR-DS3000 』のトランスミッターに接続し、PC の音声出力を任せる。
また、PlayStation2 からアナログ音声出力を液晶ディスプレイのオプションスピーカーに繋ぎ、そこのヘッドホン出力からトランスミッターのアナログ端子に接続。
PC でも PlayStation2 でも使えるようにしたわけだ。

ワイヤレスだからコードが体に絡みつくこともないし、手洗いや飲み物を取りに中座するときもヘッドホンをかけっぱなしで動くことができ、快適である。

『 MDR-DS3000 』はトランスミッターに Dolby Prologic II 機能を備えている。
Dolby Prologic II は 2ch のステレオ信号を加工して、5.1ch っぽいサラウンド音声に変換して聞かせるというもの。
所詮音の入口が2chだし、出口もヘッドホンの両側2つしかない以上、スピーカーで構成された 5.1ch に敵うはずはない。
普通のステレオよりは音が広がりますなという程度である。
DVD の視聴の場合、DVD プレイヤーソフト(私の場合は『 PowerDVD 』)の側で DolbyHeadphone と Dolby Prologic II をかけることができるので、本体の Dolby Prologic II 機能 は用なしだ。
ただ、PC ゲームや PlayStation2 のゲームをするときに『 MDR-DS3000 』側で Dolby Prologic II をかけると、ゲームソフトが美少女ゲームとかエロゲームとかならば、登場人物たちの台詞が映画館で観る映画の台詞のようにサラウンド感が出て割と楽しい。

しかし時間が経つにつれてヒスノイズが気になってきた。
『 MDR-DS3000 』を含む安価なワイヤレスヘッドホンは、音声の伝送にアナログ赤外線を用いていることが多い。
アナログ赤外線方式はヘッドホン側の受信にあまり電力を使わないらしく、ヘッドホン側の電池の持ちはいいのだが、どうしても「サーッ」というヒスノイズがつきまとうのである。
『 MDR-DS3000 』もヘッドホン側で音量を上げると、カセットテープを聴くかのように盛大なヒスノイズが混じる。
音量を下げれば許容できる程度にノイズは低減するのだけれども、製品の経年劣化なのか聴覚の変化なのか、購入直後よりもノイズが目立つ気がするのだ。
一方、デジタル赤外線方式では伝送時にヒスノイズが乗ることはない。
その代わり製品は高価である。

1年近く使ったことで『 MDR-DS3000 』に払った金の分は充分に楽しんだと思う。
上位機種への買い替えの時だ。

『 SE-DIR2000C 』を買う

7月下旬になって、東北パイオニアからデジタル赤外線方式のワイヤレスサラウンドヘッドホンの新商品、『 SE-DIR2000C 』が発売された。
ワイヤレスヘッドホンの中でも高級機で、先代の『 SE-DIR1000C 』から使い勝手の面で種々の改良が施されており、なかなか魅力的な商品である。

Pioneer デジタルコードレスヘッドホン SE-DIR2000C


7月31日、ヨドバシ梅田のヘッドホン売場に出かけ『 SE-DIR2000C 』を含むワイヤレスサラウンドヘッドホンを試聴し比較検討した。
店内がやかましいため、ここでは音質がどうのこうのというのはよくわからない。
ヘッドホンの装着感を試すのが第一義だ。
ついでに有線ヘッドホンもいろいろ試してみたところ、ワイヤレスヘッドホンの中ではオーディオテクニカの『 ATH-DCL3000 』がやはり最高の装着感である。
しかしお値段も8万円越えと最高だ。
ネット上の評判でも、ワイヤレスヘッドホンとしてはヘッドホンマニアを満足させる音質であるらしい。
通販専門の安売り店で買えば6万円そこそこで買えるので、思い切ってこれを買おうかと考えたが、充電池が問題となった。
持ち時間が10時間と短いため、実際使うとなると2、3日で電源切れになってしまう。
おまけに、その充電池を充電するにはヘッドホンから単3型ニッケル水素充電池を取り出し、充電器にセットしなければならない。
それくらいの手間を惜しむなよと言われそうだが、やはり面倒くさいものだ。
また、ワイヤレスヘッドホンの中では頭抜けた装着感ではあるが、2、3万円以上するような有線ヘッドホンには装着感で『 ATH-DCL3000 』を上回るものがいくつかあった。

そういうわけで、装着感では『 ATH-DCL3000 』に劣るが使い勝手では優れていると思われた『 SE-DIR2000C 』を購入することとした。
お値段は確か46,800円で、15%ポイント還元。
ちなみに発売から1ヶ月ほど経った今では3,000円ほど値下がりしている。

『 SE-DIR2000C 』を使う

『 SE-DIR2000C 』については AV Watch の記事が詳しいので、私が抱いた使用感をメインに書くことにする。

『 SE-DIR2000C 』の場合、ヘッドホンの天頂部に端子があり、その端子をトランスミッター上部に備えられたスタンドに載せることで充電ができる。
まるで吸い寄せられるかのようにカチッと金属音がして収まり、赤色 LED が点灯、充電が始まる。
神経系の障害で細かい手作業が出来ない病気の人でもできるんじゃないかと思うくらい収まりがいい。
『 MDR-DS3000 』ではヘッドホンのハウジング(音が出る丸いところ)の底――有線ヘッドホンで言うとコードが生えているあたりに端子があって、これをトランスミッターの端子と合わせるのが難しく、充電を行うたびにイライラさせられたものだ。

ヘッドホンを装着すると、ハウジングの傾きを検知して自動的にヘッドホンの電源が入る。
ヘッドホンを外せば自動的に電源が切れる。
便利な機能ではあるが、机の上に置いたときにハウジングが傾いていると、使ってなくても電源が入ってしまう。
『 MDR-DS3000 』みたいにヘッドバンドの伸び縮みで電源が入る機構の方がいいなと思う。

装着感については、AV Watch の記事では「非常によい」とあるが、私はそれほどでもないと感じた。
かと言って「良くない」「悪い」というほどでもない。
もちろん、3,000円程度の安物ヘッドホンと比べれば遥かに優れている。
50mm径の大きなユニットを装備しているだけあって、耳全体が覆われて均等に圧力がかかる。
私は近視なのでメガネをかけているけれど、メガネの蔓が圧迫されて痛むことも全くない。
イヤーパッドは布張りで、人工皮革のものと比べるとべた付き感がなく、そこそこ馴染みがよいと思う。
重量は電池を入れない状態で350gあるようだが、数字ほど重さを感じない。
ただ、掛け心地を優しくする代わりに側圧が緩めになっていると思われる。
前述したとおり、私はワイヤレスの利点を生かして、ヘッドホンを掛けたままでお手洗いに行ったり冷蔵庫に飲み物を取りに行ったりする。
そんなとき、『 SE-DIR2000C 』だと不意にヘッドホンがずり落ちるのだ。
『 MDR-DS3000 』のときはそんなことは全くなかったので残念だ。
だから『 SE-DIR2000C 』を掛けてダンスの練習をするとか、激しい音楽を聴きながら頭を振ってノリノリになるとかは難しい。
もちろんただ座っているだけならヘッドホンがずり落ちることはないんだけど……。

『 SE-DIR2000C 』にあって『 MDR-DS3000 』にない機能が DolbyHeadphone である。
普通ヘッドホンで音を聴くと頭の中で音が鳴っているように感じる。
これを、あたかも体の正面のスピーカーから音が聞こえるかのようにするという音響技術だ。
実際のところはどうかというと、全体的に音場が左右に広がったうえでセンター音声が奥に引っ込む。
正面から聞こえるというほどの定位ではないけれど、音源が頭の中から抜けて頭皮からおでこ、あるいはこめかみの辺りに移動したような感じがする。
音に広がりが出る分、聴き疲れしにくい利点があるように思う。
レベルを強くすると劇場というよりは風呂場っぽい反響になる。
今まで PowerDVD によるソフトウェアでの DolbyHeadphone でしかこの機能を得られなかったのが、ヘッドホンで聴くあらゆる音――例えば一般的な MP3 プレイヤーで再生する音楽、 Windows Media Player で再生する動画の音声、 TV 視聴ソフトからの TV 音声、ゲームソフトの BGM など――に DolbyHeadphone を適用できるようになった。
素の 2ch 音声に Dolby Prologic II だけを適用するよりかは自然なサラウンド感が得られるので、DolbyHeadphone はお気に入りだ。

サラウンド機能を使わない状態、つまり普通のヘッドホンとして使ったときの音質はどうか。

最初の最初、初めて『 SE-DIR2000C 』を掛けたときにあろうことか、「サーッ」とヒスノイズが聴こえた。
トランスミッターにはデジタル入力、トランスミッターからヘッドホンへはデジタル赤外線転送なのになんでヒスノイズが聴こえるんだよ金返せ!……と思ったが、ふと入力側( PC )の音量を最大出力にし、ヘッドホンの音量を下げてやると、ヒスノイズは全く判らなくなった。
ヘッドホン側で音量を上げると、トランスミッターに内蔵されたアンプが出すノイズを増幅してしまうのだろうか。
トランスミッターのヘッドホン出力端子に有線ヘッドホンを繋ぐとやっぱりヒスノイズがあるので、アンプのせいかなという気がする。

ヒスノイズの話はさておいてヘッドホンの性能はというと、これは正直言ってよくわからない。
なにぶん私、オーディオマニアじゃございませんので。
敢えて言うなら、明らかに音が篭るとか低音がズンドコするとか高音がキンキンするとかといったことはなく、特に特徴のない感じ。
特定の音源を聴いたときにドライバーがビリビリして音が割れることがあるのだが、音源がもともとそういうものかもしれないので『 SE-DIR2000C 』が悪いとは断言できない。
Kakaku.com のくちコミ掲示板によれば「爆発音が割れる」らしいが……。

予想外のことでうれしかったのは、私の部屋に特有のことかもしれないが、組立式ロフトベッドの真下にトランスミッターを置いていてもベッドの上で音が聞こえたことだ。
部屋が狭いせいで赤外線が壁で反射し回り込んでいるのだろうか。
お陰でコードに邪魔されず、ベッドで寝転がりながら音楽を聴くことが出来る。
そのまま眠り込んでしまっても寝ぼけてコードを断線させてしまうなんてことがない。
眠っている間もヘッドホンの電源が入ったままなので、電池の消耗は激しいけれど。

結論

『 SE-DIR2000C 』は機能が豊富で使い勝手が良く、実売価格も安売り店で4万円弱にまで下がっている。
今からワイヤレスサラウンドヘッドホンを買うのであれば、『 SE-DIR2000C 』より下のクラスの廉価品を買うよりも、思い切って『 SE-DIR2000C 』を買う方が後悔しないと思う。
予算が潤沢で、充電の手間を惜しまない人なら『 ATH-DCL3000 』がよいだろう。

投稿者 Dormeur : 07:25 PM | コメント (2) | トラックバック

août 22, 2005

『おねがい☆ツインズ』を観た

実際に観たのは2週間前なのだけれど、『おねがい☆ツインズ』のお話。

『おねがい☆ツインズ』は『おねがい☆ティーチャー』の続編にあたるアニメーションドラマで、2003年の作品だ。
前作は正体が宇宙人である女性教師と、病を抱えた高校生のラブコメディだった。
今作もやっぱりラブコメディではあるが、前作のような SF 色はほとんどなくなり、普通の人間ドラマに近くなっている。

物語の舞台は前作から2年後の木崎湖周辺。
幼い頃親に捨てられて施設で育った主人公の少年、神城麻郁は自分の出生の手がかりを求めて、木崎湖のほとりの一軒家を借り高校一年生として一人暮らしを始める。
その家は、幼い頃の自分の姿が写った唯一の写真の背景にあった家だった。
前作で当地に巻き起こった UFO 騒ぎを TV 中継で観たとき、たまたまその家が TV に映っていることに気がついたのだ。
写真には彼のほかにもうひとり、同い年ほどの少女が写っていた。
写真にある家に住んでいれば、肉親と思われるその少女にも会えるかもしれない。
もしその彼女が肉親だとすれば、彼女を絶対に不幸にしないと彼は決意していた。

そんな麻郁のもとへ彼と同じ青い瞳を持つ少女、深衣奈と樺恋が別々に訪ねてくる。
彼女たちもまた孤児であり、麻郁の持つ写真と同じものを持っていた。
彼女たちのうち、どちらかが肉親で、どちらかが肉親でないらしい。
押しかけ女房的にやってきた二人の少女だったが、肉親かもしれない人間を追いやることはできないという理由で、麻郁は彼女たちと共同生活を始めることとなる。

予定調和な展開ではあるが、深衣奈と樺恋は共に暮らすうち、麻郁に恋心を抱くようになる。
しかしここで問題が持ち上がる。
麻郁と肉親だとすれば、許されない恋となる。
麻郁と血の繋がりがないとすれば、恋することはできるが、麻郁と共に暮らすことができなくなる。
この葛藤が中心となって物語は進んでいく。

ドラマ性が高く、主人公も目的を明確に据えて自らプログラムの仕事で生計を立てている自立した人物なので、前作のように主人公のヘタレ加減に悶絶することがないのはよかった。
ラブコメのお約束という奴で、ヒロインに対する態度はやはり終始煮え切らないが、我慢できる範囲内だ。

今作でも前作の登場人物たちが脇役で登場するのだが、基本的にギャグ要員なので前作でのシリアスな展開が台無しになってしまっているのが悲しい。
特に前作ではクール・ビューティーだった森野苺が単なる変態キャラクターになってしまっている。
前作でのドラマを経て、彼女なりに人生を謳歌するようになったということなのかもしれないが……。
そして前作同様、一旦シリアスに物語を区切ったあとは、おまけの第13話で胸焼けしそうな程甘たるいラブコメディになるのであった。

見た目もギャグも、「一般人にもどうぞ」とは到底言えないタッチだけれど、「萌え」を基準とするとキャラクターの絵柄は綺麗に描かれている。
「萌えアニメ」が好き、てな人には満足してもらえる出来だと思う。

投稿者 Dormeur : 11:00 PM | コメント (0) | トラックバック

août 21, 2005

CPU クーラー『 GH-PDU21-SC 』、電源『 SR-1450A 』

ヘッドフォンをしていても PC の騒音が気になる。
騒音の原因は恐らく CPU クーラーと電源ユニットの冷却ファンだ。
ってことで、バックアップ用 HDD を買いに行くついでに CPU クーラーと電源ユニットを買ってきた。

CPU クーラーを交換するにあたって、マザーボードにいろいろと組み付けたパーツを今更全部外すのは面倒くさい。
したがって、CPU クーラーはリテンションを外さずにクリップ止めするタイプに絞って選択する。
リテンションを外して設置するタイプを視野に入れると選択肢は多いのだが、それは新マシンを組むときに取っておくことにして。
5,000円オーバークラスに手を出すのを躊躇した結果、GIGABYTE の『 PDU21-SC 』を選んだ。
11cm ファンによる風量で CPU のみならずマザーボードも冷却する、というのが売り。
ヒートパイプでヒートシンクを浮かせているので、CPU 周りの部品と干渉しづらいというのも特徴。
いざ買ってみて設置しようとしたら周辺部品に当たって組みつけられない、なんて切ないし。
お値段は4,380円。

さて早速設置にかかってみると、さすがに11cmファンを備えているだけあって、ごつい。
478pin の Pentium 4 の場合、2つのクリップでリテンションに留めるだけなのだが、マザーボードに刺さった部品は外さず、ケースも立てたまんま、という横着な状況での設置のため作業は難航。
クーラーそのもののごつさに阻まれて、指を奥に突っ込みながら失敗を繰り返す。
素直にケースを横倒しにして作業した方が簡単だったような気がする。

ともかくなんとかクーラーの固定に成功。
しかし、相変わらずうるさい。
いや、以前よりうるさくなったような気がする。
金をドブに捨ててしまったか……と思ったが、これは電源ユニットのうるささが前面に出てきたのだろうと思い、電源ユニットも交換した。

電源ユニットは Abee の『 SR-1450A 』を選んだ。
お値段は9,780円。
12cm ファンを備えた、静音を売りにした製品ではよくあるタイプ。
選択の理由としては、2ch BBS でも静かさについて好評であること。
また、Abee は星野金属からスピンアウトした社員が設立した会社なので、応援の気持ちも込めた。
化粧箱だけは無闇に丁寧で高級感がある。
しかし中身は中国製で、 Topower の OEM らしい。
また、「クラス最高水準のパーツが使われている」と謳ってはいるが、他社の同価格帯の製品と変わりはないそうだ。

電源の換装は面倒くさい。
ファンコントローラを使用しているため PC 内部は配線でゴチャゴチャ。
持ち主の性格が反映されているだけかもしれないが。
電源コネクタを外し、絡んだケーブルを引っ張り出して、電源ユニットを外して……ああ面倒くさい。
しかし面倒くさいだけのことはあった。
騒音が明らかに減少!
今まで目立たなかった HDD のアクセス音が際立つほど静かになった。
Super Flower の『 SF-400TS 』!
お前が犯人だー!
これはもっと早く換装しておくべきだったなあ。
『 SR-1450A 』、静かさに関しては私もオススメしておきます。

ただし静かさの代償として電源のファンの風圧が低い。
ということはケース内に熱がこもりやすくなるということなので、ケースの換気が一層大切になってくる。

現在室温27度で、ケースファンを最低に絞ったところ、Speedfan 読みで CPU 温度(アイドル時)46度、マザーボード温度47度。
本来ならこれより10度ほど下がるはずなんだけど、CPU クーラーの密着具合がよろしくないか、電源ユニットの熱を吸い込んでいるかだろう。
HDD は吸気ファンの真後ろにあるため40度を下回っている。
実は当初 CPU 温度はアイドル時に50度を上回っていたので、一度 CPU クーラーを付け直してこの値だ。
さらに付け直すのはうんざりするし、静かさとのバランスを考えるとこれくらい温度が高くても仕方ないかなという気がする。

面倒くさい教の教義のひとつは「妥協」であり、「まあ、そのうち」である。

投稿者 Dormeur : 11:52 PM | コメント (0) | トラックバック

août 15, 2005

『ひぐらしのなく頃に解 罪滅し編』をプレイした

マンガ化や TV アニメ化が話題のノベルゲーム、『ひぐらしのなく頃に』シリーズ最新作『罪滅し編』が昨日販売された。
解答編の第2話、シリーズでは第6話にあたる。
コミックマーケットに出かけたり同人グッズショップに並んだりする暇も気力もなかったので、同人グッズショップのオンライン通販で予約購入した。
今回はついに謎の多かったヒロイン、竜宮レナの視点を絡めて物語が描かれている。
以下、ネタバレを含むので注意。

これまでの話で気づいた人は多いだろうが、主人公を含む主要登場人物たちのなかにあって、レナの家庭環境については長らく作中で語られては来なかった。
ようやく今作において、彼女の家庭環境が明らかとされることとなる。
そして彼女が淑やかさと道化の仮面の下に抱いている感情も。
それは自分のせいで家庭が崩壊してしまったという強い罪悪感であり、平穏な日常を維持しようという強い意志であった。
その感情が間違った方向に進み、またも雛見沢で惨劇が引き起こされる。

彼女に比べれば、主人公の前原圭一はまだまだ子供であり、阿呆である。
だがそんな彼も自分の罪に気づくことでようやく主人公の輝きを獲得した。
レナが狂気に囚われていくなか、圭一はかつての『鬼隠し編』での自らの行動を思い出す。
ここに至り『鬼隠し編』の真相が幾らか明かされるとともに、物語は剣と魔法の世界ではない方のファンタジーでよくある「ループ」「平行世界」の要素を顕在化させる。
『鬼隠し編』でヒロインたちを傷つけた自分のように、雛見沢村に来る前の過ちをレナに知られ傷つく圭一。
『鬼隠し編』における立場とちょうど逆の立場に立たされた彼は、自らの罪を自覚する。
もはや彼は逃げないし、一人で足掻くこともない。
罪を償うため、今度は仲間たちとともに惨劇に立ち向かう。
覚醒した圭一が仲間たちと協力しあい窮地を脱するクライマックスのシーンは伝奇的でありアクション映画的。
やり過ぎな感は否めないが格好いい。
主人公がループに気づき連帯して仲間を救い出そうとする展開は、『 Ever17 』を彷彿とさせてグッとくる。

「おお、ついに準ハッピーエンドか!?」と目元を滲ませつつ期待するが、やはり結末は破滅であり、『祟殺し編』の真相を明かす物語へと道を空けるのだった。
2回盛り上げて2回落とすんだからもう、意地悪だ。
まあ確かに、いくら○○○ても仕方ないような○○とはいえ、○○を○しておいてハッピーエンドというのは不遜だけど。
どうやら少なくともこの物語においては、登場人物の誰かが少しでも一人で思い詰めて行動すると必ず破滅を招く仕掛けになっているらしい。
仲間を絶対に信頼し協力し合わねば、些細なきっかけで誤解が生じて深淵に飲み込まれてしまうようだ。

今作でも富竹と鷹野は死んでしまったが、登場人物の誰もが死なずに済んで初めて『ひぐらしのなく頃に』はハッピーエンドを迎えそうな気がする。

なお、『罪滅し編』の読了に要した時間は7時間ほど。
解答編に入って謎の多くが明らかとなり緊張感が減ったせいか、テンポの悪さと退屈さを強く感じるようになった。
しかし、惨劇の終わりはもうすぐ。
『祟殺し編』の真相を明かしてくれるであろう次回作、『皆殺し編』が楽しみである。

投稿者 Dormeur : 11:03 PM | コメント (0) | トラックバック

août 14, 2005

バファウェーブ対マリーンズ 第14回戦 花火ナイト

先日、甲子園球場へオールスターゲームを観に行った帰り道のこと。
阪神電鉄の甲子園駅の混雑を避けるため、球場前でしばらく立ち話をしてから駅に向かった。
甲子園駅は幹線道路を跨いだ陸橋上にプラットフォームがあり、その出入り口は
東西に一つずつ、道路の両岸に設けられている。
西口へ向かったところ、改札口からプラットフォームまで、まだ行列が詰まっていた。
道路を渡った東口も同様の混雑具合のようであった。
さてどうしようか、と横断歩道からほど近い場所で立ち話をしていたまさにその時。
右の方から突然若い女性が駆け寄ってきた。
私が着ていたマリーンズのユニフォームシャツの右袖を掴み、上目遣いに言う。
「8月の12-14日、スカイマーク行きます?」
キャッチセールスの多い都会に暮らす人間の悲しい性、話の内容を理解する前に私は「いえ」と即答。
そう言いながら、「ああ、バファウェーブ対マリーンズ戦を観に行くかということか。なかなか綺麗な姉ちゃんやなあ」と思う。
だが彼女は私の答を耳にするやいなや憮然とした顔つきとなり、一言も発することなく踵を返す。
共にオールスターゲームを観た連れだろうか、ボストンバックほどの大きなカバンを抱えた女性の元へ戻り、彼女はそのまま横断歩道の方へ向かってしまったのだった。
カバンからは縞模様の布が見えた。
さて、彼女は一体何をしたかったのだろう?

1.オリックス球団がばら撒いたタダ券が余っていたところ、マリーンズファンを見たので売りつけて小遣い稼ぎを目論んだ
2.彼女はマリーンズファンで、一緒に観戦に行く男を引っ掛けようとしていた
3.彼女はマリーンズファンではないが、マリーンズ戦を観に行こうと思っていて、一緒に行く男を引っ掛けようとしていた
4.キャッチセールス
5.創価学会への勧誘

私は多分、1だと思う。
よしんばナンパだったとしても、挨拶一つできないような礼儀のなってない人間はいくら美人でも閉口する。
ちなみに私が立ち話をしていた相手というのは、マリーンズのユニフォームシャツを着た男性1人、ゴールデンイーグルスのユニフォームシャツを着た男性1人、バファローズのユニフォームを着た男性1人、ベイスターズのユニフォームシャツを着た男性1人、普通の服装をした男性3人という構成であった。
もし読者の皆様の中に円紫師匠猫丸先輩並みの名探偵がいらっしゃるなら、推理をお聞かせ願いたい。

この時は本当に観戦予定は決まっていなかったのだが、8月に入ってから8月13日は休みと確定したので、観に行くことにした。
スカイマークスタジアムはおよそ1年ぶりである。
前に来たときは「 Yahoo! BB スタジアム」という名前で、プロ野球選手会によるストライキが行われていた。

PICT0521s.jpg


お盆の土曜日、そして毎夏恒例の花火ナイトということで混雑が予想されたのだが、支度に手間取ったためスタジアムに到着したのはゲーム開始30分前。
既にレフト外野席は座席が埋まってしまっていた。
一人ならどこか入り込めるスペースがあるだろうと思ったのに、まったく見当たらない。
仕方なく立ち見に甘んじる。
立ち見でも良好な視界を得られるのがこのスタジアムの素晴らしいところである。

PICT0522s.jpg


ゲームは、5回裏の打ち上げ花火を待たずして花火大会となった。

バファウェーブの先発ピッチャーは、今シーズンのマリーンズが苦渋を舐めている吉井。
今日も抑えられそうな不安があったが初回、2番堀がライト最前列へソロホームランを放ち先制。
福浦が凡退ののち、4番に抜擢されたサブローが起用に応えてレフトへソロホームラン。
さらに5番フランコもセンターバックスクリーン右へソロホームラン。
ソロホームラン3発で、苦手の吉井から3点をもぎ取る。

しかしマリーンズの先発ピッチャー、清水直行も立ち上がりがよくない。
ヒットとフォアボールで塁を埋め、2点を失う。
速球は140km/h出ないし、変化球も高く浮いていた。
塁が埋まると力が入るのか、速球も145km/h前後出ていたが……。

直後の2回表、パスクチのヒットに続いて橋本がライトへ2ランホームランを放ち、5対2。
再び点差を3点として、マウンドから吉井を引き摺り下ろした。

2回裏も清水は冴えない投球で、1アウト満塁のピンチを招く。
ここはなんとか無得点とするが、3回裏、先頭のガルシアに打った瞬間それと分かるソロホームランを浴びて5対3。

厳しい展開だが、今日のマリーンズは点を取られたら取り返す。
4回表、先頭のイ・スンヨプが歌藤からレフト前にヒットを放つと、続くパスクチの打球はセンターへ高々と打ちあがる。
滞空時間の長い軌道を描いて、ボールはセンターバックスクリーンにギリギリ飛び込んだ。
個人的には全然期待していなかった男の2ランホームランで、7対3。
しかし4回裏も清水は2安打を浴びて1点を失う。
7対4。

不甲斐ない清水をアシストすべく、5回表にマリーンズ打線は大爆発する。
今江のレフト前タイムリーヒットで8対4。
イ・スンヨプの右中間への二塁打で2者生還し10対4。
さらにパスクチがレフトポール際へライナーで飛び込む2打席連続の2ランホームランを放ち12対4。
おまけに西岡がライトスタンドへギリギリ飛び込むソロホームランを打って13対4。

こんだけ取れば大丈夫やろ……という訳にはいかなかった。
5回裏、またもガルシアだ。
センターバックスクリーン右へソロホームラン。
ここ数ゲームで8ホームランの量産である。
どこに投げても打たれそうな雰囲気であった。
この回、大西もバックスクリーンにソロホームランを叩き込んで、13対6となる。

ここでやっと白球の花火ではなく、火薬の花火の登場だ。
屋外球場ならではのイベントである。
ドーム球場なんてクソ食らえだ。
来年もここで観ることができればよいのだが……。

PICT0527s.jpg

火薬の花火が尽きても、花火ナイトは続く。
6回裏、清水からマウンドを受け継いだ小宮山が後藤に2ランホームランを浴びて13対8となる。

その後両チームともランナーを出すが得点に至らず、ゲームセットを迎えた。
両チーム合わせてホームラン11本が乱れ飛ぶ、大花火大会であった。

ホームランの打ち合いとなったアホなゲームは過去何度も観たことがある。
4、5年ほど前のバファローズ対ファイターズ戦、バファローズ対ホークス戦なんてホームランによる逆転また逆転の繰り返しだった。
しかしさすがに1ゲームで2桁のホームランを目撃したのは初めてだ。
これだけホームランが多いと食傷して「もういいよ」という気分になる。
何事も加減が大事である。

投稿者 Dormeur : 07:47 PM | コメント (0) | トラックバック

août 10, 2005

「ギュスターヴ・モロー展」を観た

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ユイスマンス( Joris-Karl Huysmans )という作家をご存知だろうか。
19世紀末フランスの作家で、小説『さかしま』( À rebours )で名高い。
こんなことを言うとフランス文学の先生に怒られそうだが、『さかしま』は現代のオタクと引きこもりの元祖のような作品なのだ。

主人公の青年、デ・ゼッサントは俗世間に幻滅して、フォントネーの邸宅に引きこもり、昼夜さかさまの生活を始める。
金持ちな彼は邸宅の中を自分好みに改造し、自分好みの調度品、美術作品、文学作品で埋め尽くす。
自室をマンガ、フィギュア、ポスター、抱き枕なんかで埋め尽くして引きこもるオタクを芸術方面に極限化したみたいな奴だ。
デ・ゼッサントを通じてユイスマンスは延々と芸術批評を行い、薀蓄を垂れ、自らの審美眼を披露していく。
蒸気機関車に美を見出すあたり、彼は鉄道マニアの元祖ともいえるかもしれない。
格好いいよデ・ゼッサント。
憧れるよデ・ゼッサント。
最後は頭がおかしくなって終わるけど。

そんなデ・ゼッサントも絶賛と(1万回は使われたであろうギャグ)いう画家がギュスターヴ・モロー。
19世紀のフランスで活躍した、象徴主義の画家だ。
写実主義や印象派の時代と被るのであまり大きく扱われることはないが、神話や聖書を題材とした作品を沢山描き、死後自宅を国立美術館とするよう自らの作品とともに寄付した偉い人である。

先月のことだが、そんなモローの展覧会が兵庫県立博物館で開かれていたので観に行ってきた。

そもそも私がモローのことを知ったのは学生時代に読んだ『さかしま』から。
んでもって、『さかしま』で取り上げられているモローの作品といえばサロメだ。
サロメというのは、聖書に登場する女性である。
サロメの踊りに欲情したヘロデ王は褒賞として「何でも望みを言ってみろ」と衆人の前で言ってしまう。
母親の入れ知恵でサロメは洗礼者ヨハネの首を所望する。
約束した手前、ヘロデ王はヨハネを斬首することになる。
このエピソードからサロメはファム・ファタル、官能で男を誘惑し破滅に追い込む魔性の女ということで、特に19世紀末の退廃的なムードでは好んで芸術作品に取り上げられた。

国立ギュスターヴ・モロー美術館からの出展なので、そこには所蔵されていない代表作『ヘロデ王の前で踊るサロメ』( Salomé dansant devant Hérode )を観ることはできなかったが、油彩による未完作品、『出現』( L'Apparition )が展示されていた。
本物だよ本物、と有名人を街中で見かけたかのようにしばし見入る。
ヘロデ王の前で半裸になって踊るサロメの前に、まだ褒美を求めてないのに時空を越えてヨハネの首が出現。
その首には後光がさし、血が滴り、目はサロメを凝視しているというシーンだ。
ヨハネも自分を死に導いた女のエロさって奴を見たかったのよ、なんて言うと不謹慎か。

ついカッとなってお土産コーナーで『出現』『ユニコーン』のポスターと、それを納めるためのフレームを購入。
これで僕もデ・ゼッサント気分です。

投稿者 Dormeur : 01:25 AM | コメント (4) | トラックバック

août 08, 2005

『 narcissu 』をプレイした

『 narcissu 』は PC 上で読む、音楽と声と少々の絵がついた短編小説である。
シナリオライター片岡ともが中心となって制作された作品で、Web サイトで無償公開されている。
体裁こそノベルゲームのシステムを利用してはいるが、選択肢によって物語が変化するわけではない。
画面構成と淡々とした語りに、一本のロードムービーを観たかのような感覚を覚える。

作り手が Web サイトで内容紹介として示していることなので伏せないが、この作品の物語は、ある若い男女が出会い死に臨んで、いかに生きたかを描いたものである。
だけれども、男女の恋物語ではない。
主人公の名前は示されず、ヒロインも彼の名前を尋ねようとはしない。
ギリシア神話のナルシスのように、彼女は彼女自身の世界しか見ていないのだ。
ヒロインにとって主人公は、止まっていた彼女の「時間」を動かし、一瞬の「生」へと導くきっかけに過ぎない。
しかし主体性を放棄していたヒロインにとっては、主人公は行動を起こすための、すなわち「生」への、唯一の手段であった。
音叉への一撃によって発生した響き=エコーのように、主人公の与えたきっかけによってヒロインの「生」は現れ、そして速やかに消えていく。
「生」を獲得してしまったヒロインは、主体的に終末を選択することで自己の世界の完結を果たす。

彼女の「生」を形に残したことが、主人公の「生」であった。
ヒロインが主観の世界の住人であるならば、主人公は客観の世界の住人である。
プレイヤーもまた、主人公の傍らで立ち尽くすだけだ。
物語に救いはない。
そもそもヒロインも主人公も、救いを求めてはいない。
あえて救いを見出すならば、それは二人が出会ったことである。

正直なところ、私は職業柄彼らを素直に受容することはできない。
同じ事をされたら、心の中で呪詛の言葉をぶつけるに違いない。
同じきっかけで去っていった人々に、胃を痛め頭を悩ます毎日の生活が私の心を固く縛っている。
冬のあの海は鈍くて重くて汚いぞ、と冷静にツッコミを入れてしまう。

だが、私にもまだ人の心はあったらしい。
最後の最後には目元が滲んでしまったのだから。

ボイス無しでプレイ(もちろんそれは CD や DVD の「再生」という意味で――この「再生」ってのも意味深長だな)したところ、所要時間は1時間ほどだった。
ダウンロードの時間も入れて、2時間ほどの余裕があるならば、この作品に触れてみることは悪くないだろう。

今晩吸うエコーは、一味違う。

投稿者 Dormeur : 11:59 PM | コメント (0) | トラックバック

août 06, 2005

『皇帝ペンギン』を観た

確かあれは中学生の頃だったと思う。
美術の時間、彫刻の実習があった。
250ml の缶ジュースくらいの大きさの直方体の石を彫って何か作れというやつだ。
何か楽に彫れるものはないかと思案した私が選んだ題材は、コウテイペンギンだった。
直立して首を肩に埋め寒さに耐えているコウテイペンギンは凹凸が少なくて彫りやすそうだったから。
しかし出来上がった作品は同級生には不評だった。
こんなのはペンギンではないという。
彼らの浅薄な知識にはコウテイペンギンという種はなかったのだろう。
単純に私がヘタクソだっただけだという冷静な意見は心にそっとしまっていただきたい。

そもそもコウテイペンギンは南極大陸を生活圏にするペンギンで、ペンギンの中でも最も体が大きい。
たいていのペンギンは南極のような極端に寒い場所ではなくて、南アメリカ大陸の南端とかニュージーランドとかのもう少し温暖な気候の場所に住んでいる。
しかしコウテイペンギンは何が彼らをそうさせるのか、わざわざ零下数十度の極寒環境で繁殖活動を行う。
その繁殖活動を描いたドキュメンタリー映画が『皇帝ペンギン』( La Marche d'Empereur )だ。
フランスの作品で、原題の意味は「皇帝の行進」である。

観に行ったのは先週の土曜日、梅田ガーデンシネマだったのだが、最後の回の上映開始の直前あたりに着いたらすでに満席。
運良く土曜日は追加のレイトショーがあったので、そちらの回で観ることにした。
しかし整理券入場順は既に70番台と半分以上後だった。
結構な人気である。
ここで上映されていたのはフランス語版。
上映館は結構あるのだがほとんどが日本語吹き替え版なので、客が集中してしまったのかもしれない。

映画は、コウテイペンギンを擬人化し台詞を宛がった物語仕立てだ。
「プロ野球珍プレー好プレー」のみのもんたみたいなものである。
いや勿論、遥かにこの映画の方が詩的だけれど。

冬になるとコウテイペンギンたちは、南極大陸の岩山に囲まれた繁殖地へ向かって行進を始める。
まるで何かに操られているかのように。
繁殖地に集まった彼らは交尾を行い、メスは卵を一つ産む。
餌のある海からは遥か離れているので、この間全員絶食だ。
卵が孵ってからの餌を確保すべく、メスは卵をオスに預け海へと行進を始める。
オスは足の間に卵を抱え、ひたすら寒さと飢えに耐え続ける。
押し競饅頭でブリザードに耐える彼らの姿は『八甲田山』を思い出さずにはいられない。この間に卵が孵ると、オスはヒナに胃の残留物や胃の粘膜を与えメスを待つ。
メスが帰って来ると今度はオスが海へと旅立つ。
メスの確保してきた餌を食べて育っていくヒナ。
このヒナがもう可愛いこと可愛いこと。
萌え死にそうです。
お持ち帰りしたくなること請け合い。
多分本物は臭いだろうけど。
ヒナが自分で海に入れるくらいに育ったところで、映画は終了である。

極端に厳しい環境で生命を育むコウテイペンギンのストイックな生き様を通して、高らかに生命の賛歌を歌い上げる。
コウテイペンギンも凄いが、それに付き合って極寒の中で撮影を成し遂げたスタッフも凄い。
全く大したもんだ。

ちなみに私が最もグッと来たのは、行進から脱落して見渡す限り白い世界を彷徨う一羽。
自分の未来の姿をそこに観るようで。

投稿者 Dormeur : 08:09 PM | コメント (0) | トラックバック