17 juillet 2005

『逆境ナイン』を観た

『逆境ナイン』は1989年から1991年まで月刊少年キャプテンに連載されたマンガである。
弱小野球部であるがゆえに校長から廃部を宣告された野球部キャプテン不屈闘志が、克服不可能と思われるような逆境を跳ね返し、野球部を全国大会に導く物語となっている。
私が初めて読んだときはその強引なストーリー展開に、悶絶しながら爆笑し呼吸困難に陥ったものである。
これほど「腹がよじれるほど笑える」という比喩が似合う作品もそうそうないだろう。

その『逆境ナイン』が実写映画化された。
無謀である。
そもそも、マンガが実写映画化されて成功した例など殆どない。
大抵はチープな雰囲気の漂った別物になってしまう。
しかし原作は個人的に思い入れの深い作品であり、長らく時の流れに埋もれていた名作だ。
ファンとしてはそれを掘り起こし、敢えて映画化した蛮勇をこの目で見届けてやるべきであろう。
そんなわけで私は劇場に足を運んだのであった。

ギャグが空回りしている。
予想通りである。
どうも間がよくない。
笑えたのは主人公が「一緒にジャスコに行かないか」とデートに誘うシーンくらいだ。

制作資金が潤沢にあったとは思われないが、その割に CG が多用されている。
別にそこまで CG いらんやろ、というところまで CG が使われている。
原作の持つ、無闇な勢いを表現しようとの意図だろうか。

メインとなる野球のシーンはというと、迫力不足を感じる。
素人考えだけれど、ショットを刻んだ方がバカバカしい格好よさがより一層現れたのではないかと思う。

よかったところを挙げるとすれば、全力学園高校の女子用制服のデザイン。
これは可愛い。
あと、原作者島本和彦がマンガ家・炎尾燃役で出演していること。
「炎の転校生」での歌声と同じ声質が響き、有名人を間近で目撃したときのような、ささやかな喜びの気持ちを得ることができた。
不屈闘志役の玉山鉄二が見せる、原作さながらの表情芸も意外とよかった。

制作費を回収できるところまで観客動員できるか考えると微妙なところだ。
しかし、少なくとも『逆境ナイン』を実写映画化するという難事に挑戦したスタッフには、拍手を送りたいと思う。
お陰で原作も復刊されたことだし。

私もスタッフや作中の登場人物同様、阿呆になってみた。

PICT0497s.jpg

それはそれ、これはこれ。

蛇足だが、島本和彦の肉声。
http://www.geocities.jp/mes_chansons/simamoto.html
http://www.geocities.jp/mes_chansons/simamoto2.html

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