児童文学を数点。
といっても私には児童文学の定義がよく分からないんですが、子供が主人公なら児童文学なのか、子供向けの文学が児童文学なのか。
あるいはその両方でしょうか。
森絵都『宇宙のみなしご』(講談社)
ISBN:406207334X
買った当時出版社でも品切れで、古本で1900円の高値がついていた。
今は重版がかかってお安く手に入ります。
「第41回青少年読書感想文全国コンクール 中学校の部 課題図書」と帯にでかでかと書いてある。
普段の私なら一瞥して「ケッ」と思って手に取りもしないだろうが、知人の勧めもあって読んでみた。
両親に構ってもらえない中学生の姉弟が、真夜中に他人の家の屋根に上るという遊びを思いつく。
その遊びに、姉のクラスメイトが絡んでちょっとした事件が起こるという話。
読書感想文コンクールの課題図書なんて言われると、大人の建前的な価値観を刷り込もうとする奇麗ごとな物語かと身構えてしまうが、さにあらず。
自我を確立していく中学生の頃、感受性の強い子供は大人や社会や人間関係に、失望や諦念を見出す。
主人公もそんな「ちょっと早く大人に近づいている」タイプの少女であり、彼女の視点で物語が描かれていく。
同年代にある彼女のような子供たちにとっては、主人公とシンクロしまくりで直球ストライクな本だと思う。
私ももっと若いときにこの本を読みたかった。
ところどころ、意表を突いた比喩が出てくるのも面白い。
高かったけど満足満足。
草壁たき『猫の名前』(講談社)
ISBN:4062113872
中学生の少女が、隣家に住む女性、クラスメイト、かつての同級生との人間関係を通じて成長する様を描く。
『宇宙のみなしご』を気に入った人なら同様に面白く読めると思う。
カレル・チャペック『長い長いお医者さんの話』(岩波少年文庫)
ISBN:4001140020
ユーモラスな童話集。
良し悪しは別として、ヨーロッパの人の御伽噺はセンスが日本人と違う……。
あさのあつこ『バッテリー』(角川文庫)
ISBN:4043721013
2004年の文庫本で最高の一冊。
イヤッホウゥ、角川文庫最高!
大体新刊本の帯に書かれた煽り文句というのは大げさで鵜呑みにできないものである。
しかし。
この本の帯にある「こんな傑作を読んでこなかったのかと猛烈に反省 北上次郎」「これは本当に児童書なのか!?」という文は全くもってそのとおりで、同じことを私も思った。
中学校入学直前の夏休み、天才ピッチャー原田巧は、父親の転勤に伴って病弱な弟とともに母の実家へと引っ越してくる。
そこで巧は、同じ中学校へ入学する永倉豪に出会う。
少年野球のキャッチャーをしていた豪は巧の投球に惚れこみ、巧も豪の才能を認め、バッテリーを組むことになる。
自分の才能に揺ぎ無い自信を持ち、しばしば冷酷に他者を切り捨てる巧。
一方、他者へのいたわり、慈しみを備えた豪。
豪と共に過ごすうち、巧の心にも僅かな変化が訪れる。
少年たちの心の動きを丁寧に描いていて、立派な文学と言っても過言ではない。
野球というスポーツが嫌いなら仕方ないけど、そうでなければ是非オススメしたい作品です。
あさのあつこ『バッテリー II 』(角川文庫)
ISBN:4043721021
野球部に入部した巧と豪。
しかし唯我独尊な巧の性格が中学校の教育的管理野球に合うはずもなく、巧は監督の指導に反抗を続ける。
そんな巧に対して先輩野球部員がやることといったら、大体想像がつくもので……。
展開に緊迫感が増し、一気に読みきってしまった。
あさのあつこ『バッテリー III 』(角川文庫)
ISBN:404372103X
『 II 』の事件で部活動停止になってしまった野球部。
なんとか活動再開が認められたものの、校長は野球部に対して不信感を抱いている。
不信感を拭い去るため、監督は強豪校とのゲームを組もうと計画。
そのためのデモンストレーションとして、三年生のレギュラーによって構成されたチームと、一・二年生によって構成されたチームとの紅白戦が行われる。
一方で、巧と豪の間に不協和音が生じる……。
三巻目になってゲームのシーンがメインになり、巧と豪の衝突と和解も加わってエキサイティング。

おやま読まれているとはびっくり。どるさんには森の絵都の月のふねのほうが良いかもしれない。おすすめの本チェックしておきます。わふ。
うむ。
実際に読んだのは去年なので久々に読み返してみたけれど、よい作品ですな、『宇宙のみなしご』。
森氏の他の作品も読むつもりです。
『バッテリー』は女の人が読むと青波君に萌えるかも。