清水義範の本は何冊も読んでいるが、2004年秋ごろから何となく勢いがついて読み漁った。
電車通勤の行き帰りに読むには、清水義範の作品はもってこいなのだ。
よいところを列挙してみよう。
・文章が平易で読みやすく、寝ぼけた頭でも疲れた頭でも眠くならない。
・短編が多いので乗り換えや降車駅での到着で中断されることが少ない(中断されても続きを読み始めるのに苦がない)。
・パスティーシュ作品やユーモア小説はネタ選びの着眼点が鋭いし、出来上がった作品も面白おかしくて没頭して読める。
・市井の人に対する温かい視線、物事に対する誠実な姿勢が感じられる作風で、読んで陰鬱にならない。
そんな訳で一冊、また一冊と買っては読み、気づいたら20冊以上読んでいるのだった。
清水義範『蕎麦ときしめん』(講談社文庫)
ISBN:406184542X
清水義範の出世作、代表作を収めたパスティーシュ作品集。
清水義範『スシとニンジャ』(講談社文庫)
ISBN:406263080X
チャンバラ映画マニアが昂じてアメリカの田舎から日本へやってきた純朴な青年が、カルチャーギャップに戸惑いながらもエキサイティングな旅をしていく様を描いた面白おかしい長編小説。
清水義範『私は作中の人物である』(講談社文庫)
ISBN:4062632594
パスティーシュ作品集。
「フィネガンズ・ウェイク」の文体模倣小説「船が州を上へ行く」がすごい。
清水義範『日本語必笑講座』(講談社文庫)
ISBN:4062739003
ことば、日本語をテーマにしたエッセイ、読み物。
「読書感想文必勝法」のくだりは正鵠を射てます。
清水義範『行儀よくしろ。』(ちくま新書)
ISBN:4480061215
えっ、新書コーナーに清水義範の本が?同姓同名の人じゃないの?
と驚いて著者紹介を見ると、間違いなく小説家清水義範その人の本であった。
新書といっても雑談風の柔らかい教育論だ。
単純な「最近の若者は……」「最近の子供は……」式の苦言ではない。
子供や若者に見られる様々な事柄について、良いところ、受け入れざるを得ないところを見出しつつも、おかしいところはおかしいと言う、実に清水義範らしい誠実な論考。
「行儀よくしろ」とは、子供に向けてのものだけでなく、大人に向けての言葉でもある。
『バカの壁』を読むくらいならこの本を読んだほうがよっぽどよい。
清水義範『大人のための文章教室』(講談社現代新書)
ISBN:4061497383
またまた出ました、清水義範の新書。
講談社現代新書のカバーデザインがすっかり変わってしまっていて、今度はそちらにびっくり。
中身は実用的な、文章講座。
作家になろうという人向けのものではなくて、手紙とか報告書とか blog とか、そういう身近な場面で文章を書くためのポイントを易しく説いている。
清水義範『お金物語』(講談社文庫)
ISBN:4061857894
「お金」をテーマにした短編ユーモア小説集。
清水義範『目からウロコの教育を考えるヒント』(講談社文庫)
ISBN:4062739917
教育についてのエッセイ。
著者の主張に全面的に賛成できるわけではないけれど、建前抜きの真摯かつ実際的な考え方が好ましい。
巻末の書簡体小説は、なかなかに感動的。
清水義範『青二才の頃 回想の’70年代』(講談社文庫)
ISBN:4062737434
著者の青春時代の回想を織り交ぜながら、1970年代の世相風俗を語るエッセイ。
清水義範の経歴紹介に何故「文壇デビュー」という表現が使われているのか、これで納得。
実はメジャーになる前、サラリーマンとしてファッション業界向けレポートを書くという仕事をしながら、ひっそりとジュブナイル SF 小説本を出していたのだ。
結婚に至る経緯も分かるし、ファン向けの本である。
清水義範『ビビンパ』(講談社文庫)
ISBN:4061854127
パスティーシュ小説集。
年賀状をネタにしたものと、パソコン通信のチャットをネタにしたものが白眉。
清水義範『源内万華鏡』(講談社文庫)
ISBN:4062732807
平賀源内の人生を描いた時代小説。
清水義範『ゴミの定理』(講談社文庫)
ISBN:4062739445
パスティーシュ小説あり、真面目でせつない短編小説あり、エッセイありと、ごたまぜな一冊。
清水義範『イエスタデイ』(講談社文庫)
ISBN:4062645475
自伝的小説、SF 小説、青春小説といった内容で、爆笑パスティーシュ作品を求める人には不向き。
しかし、ここに収められている一篇「時間線下り列車」は素晴らしい幻想文学的作品。
清水義範/西原理恵子『もっとどうころんでも社会科』(講談社文庫)
ISBN:4062737981
清水義範が西原理恵子と組んで世に放つ、社会科エッセイの第二弾。
「教科もの」定番シリーズですな。
清水義範『偽史日本伝』(集英社文庫)
ISBN:4087472507
日本史の様々なシーンについて、ワイドショー実況中継やら、珍説やら、空想的時代小説やら、『ターミネーター』風物語やらと、様々に遊んで書いた短編集。
中学レベルの日本史をちゃんと覚えていないと元ネタが分からなくてきついかもしれない。
清水義範『騙し絵日本国憲法』(集英社文庫)
ISBN:4087470431
日本国憲法をネタにパスティーシュをやりながら、憲法に対する揶揄も織り込んだ短編集。
揶揄、といっても保守だの革新だのといった政治的な主張ではなくて、問題提起といった程度で臭みはないから安心。
爆笑必至の「二十一の異なるバージョンによる前文」から、しんみりとした青春小説「ハロランさんと基本的人権」、日本国憲法を暴走族の掟に置き換えて痛快にオチをつける「亜匍驢団の掟」まで名作揃い。
清水義範『普及版 日本文学全集 第一集』(集英社文庫)
ISBN:408748453X
日本古典文学をネタにしたパスティーシュ小説集。
清水義範『普及版 日本文学全集 第二集』(集英社文庫)
ISBN:4087484629
日本の近世・近代文学をネタにしたパスティーシュ小説集。
清水義範『まちまちな街々 ニッポン見聞録』(角川文庫)
ISBN:4041804108
著者の実体験をフィクションとしてアレンジした旅行記。
『どうころんでも社会科』を楽しく読める人ならきっと楽しく読める。
清水義範『陽のあたらない坂道』(新潮文庫)
ISBN:4101282153
仮想伝記短編集。笑いは無し。
清水義範『河馬の夢』(新潮文庫)
ISBN:4101282129
ユーモア小説集。
清水義範『バールのようなもの』(文春文庫)
ISBN:4167551063
清水義範が「バールのようなもの」という紋切り型表現の珍妙さに気づかないはずがない。
表題にもなっているその短編は大爆笑の傑作。
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