納豆ドリンク

1998年4月29日。京都の出町柳に遊びに行った私は、当地の商店街の中にあるスーパーマーケットである品を見つけた。

その名も「納豆ドリンク ちゃんと健康」

納豆ドリンク。その恐ろしい、いや、甘美な響きの名の前に私は思わずその瓶を握り締め、レジへ向かっていた。

そしてその瓶を携えて大阪に帰ってきたものの、なかなか飲む決心がつかなかった。「納豆ドリンク」という前代未聞の性質のものに対峙したということのほかにも、「日本生物・科学研究所」という発売元表示と「体質に合わない場合は、飲用をお止めください」という表示が、不安を駆り立てる。しかし、好奇心には勝てず、ついにそれを飲んでしまったのである。

その舞台は昼の生協食堂。一人では心もとないので連れの前で飲むことにした(小心者だね)。

キャップを開ける。香りをまず確かめようと思うも、怖い。納豆の熟成した匂いを想像し、頭の中を巡っていく。あくまで気の小さい私は、まず連れにかがせてみた。非道。 だが意外や、平気な様子だ。安心して嗅いでみる。おお、普通の栄養ドリンクの香りではないか。納豆の匂いが全然しない。拍子抜けである。

それでは、と一口飲んでみる。何か不快な微妙な香りがするが、梅の酸味と糖分の甘味のせいで飲むのに抵抗はない。「すっきり味でおいしくのみやすい」という表示があるが、「すっきり味」で「のみやすい」のは確か。おいしいとは言い難いものの、まずくはない。とにかく納豆の感じが全然しない。

その後、胃にガスが溜った感じがして香りが上ってきたが、それは納豆に似た感じだった。しかし結局言われなければ「納豆の感じ」と分からないと思う。期待(?)させるだけさせておいて、つまらないオチだ。

いやいや、これなら納豆の苦手な人間でも、納豆の栄養分を摂取出来るだろう。開発者はえらいぞ。でも、清涼飲料水としてなら、人参ジュースとかトマトジュースの方がおいしいと思う。あくまで「健康のため」に飲むなら悪くないだろう。とりあえず開発者には私から「納豆文化功労賞」を与えよう。しかし発売元の「日本生物・科学研究所」って何をしている所なんだろう。「体質に合わない場合は、飲用をお止めください」という表示も不気味だ。今のところ何も無いけど。


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